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2008年5月31日土曜日

久々に "オシロスコープ" の本を見付けました、

久しぶりに行った神田神保町の古書店で、前々から探していた技術書のヒトツ「テスタとオシロスコープ」が棚にあるのを見付け、思わず声にはならない声で "ラッキー" と言ってしまった。
この本は鈴木 昇 著/理工学社/1973/09発行の改訂版、初版は1961/10発行ですが、残念ながらこれは未入手です。
テスタとオシロスコープ
この私は、オシロスコープに大変興味を持っていて、"オシロスコープ" とタイトルが付いた和書を片っ端から蒐集しています。
オシロスコープは、エレクトロニクスに関わるエンジニアには必携の電子測定器で、簡単に言えば電圧の時間的変化をブラウン管を用いて、リアルタイムで目視出来る測定器です。

もっとも、最近はブラウン管ではなく液晶画面ですが・・・また、リアルタイムでなくても、デジタル変換して何度でも再現できるようになり益々便利になっています。

まぁ〜ここではそんな難しい話は別として、モノがモノだけに、この "オシロスコープ" とタイトルした書籍は数が少なく、現在、巷の書店にはありません。

東京でも大型書店の専門書コーナーで見掛けることがあったら、超ラッキーと思われるほどです。恐らく、いま書店扱いで入手可能なモノはたった二冊だと思います。

  
オシロスコープ
私は、このオシロスコープの歴史と製品としての改良改善の過程などに興味があり、昭和初期まで遡って出版された書籍の収集に掛かっています。
また、ネットを介してご連絡頂き、そんな書籍をわざわざお譲り頂いたことも何度かありました。
私の推定では、オシロスコープが日本に登場したのは昭和初期の頃で、その多くがアメリカやヨーロッパからの輸入品だったようです。

国産化が始まったのは昭和十年(1935)頃のことで、現在の(株)東芝の前身になる会社が国産第一号を商品化したようです。

当時NHKは、昭和十五年(1940)の(幻に終わった)東京オリンピックで、テレビジョンの本放送を実現させることで研究開発に邁進していました。その技術開発にオシロスコープは必須の波形測定器で、輸入品はもちろん、国内でもオシロスコープを製品化しようとする企業が多く現れたようです。

1940年、NHK技研が試作した直径30cmのブラウン管
余談ですが、
先週あったNHK放送技術研究所の一般公開の時に、当時のNHKが昭和十五年に試作したブラウン管が展示されていて、後日の参考の為に撮っておきました。
直径が30cmということで、テレビジョンに使われたら、画像が映る面を真上に向け配置し、その上に45度の角度で鏡を置いて、正面からその鏡を介してテレビ画像を視る構造になるようです。

残念ながら東京オリンピックは中止、世の中は戦時下へ突入し、テレビジョンどころではなく、電探(レーダー)開発のための測定器として、その多くが転用されたと聞いています。

それ故、オシロスコープに関する書籍も、この時期あたりから出版され始めたことが分かりました。なにぶん半世紀以上も前のことで、戦前戦後の混乱時期を挟んでいて、いま躍起となって古書を探しても、なかなか見つかるモノではありません。

それでも収集を始めてから八年くらいになりますが、現在、日本で出版が確認されている書籍の八割以上を集めた様に思っています。残りの冊数は少ないですが、現存しても数が少ないだけに、早々出会うチャンスは少なそうです。お他人様に良く言われてもせいぜい「資源ゴミ」程度ですが、私にはどれもこれも「お宝」以上のモノです。

以下に現時点で出版が確認されている書籍名を列記しておきます。
なお、☆は未入手
なお、現在では「オシロスコープ」と呼び名が定着していますが、時代により、シンクロスコープ、オッシロスコープ、オシログラフなどと呼称された時代もあります。



オシロスコープ入門(第10版)  CQ出版社 2007/08
☆オシロスコープ入門講座 小澤 智、佐藤健治 共著 電波新聞社 2005/04
オシロスコープのすべて 日本テクトロニクス著 非売品 2003/07
☆新オシロ・ロジアナ入門講座 電子計測技術教育研究会 編 電波新聞社 1996/08
新・オシロスコープ測定技術のすべて 高橋 徹 著 CQ出版社 1991/05
オシロ・ロジアナ入門講座  長谷川英一 著 電波新聞社 1990/04
はじめてのオシロスコープ 吉田 武 著 日本放送出版協会 1988/11
オシロスコープ活用法 トリオ 著 CQ出版社 1983/06
オシロスコープのすべて 岡田清隆 著 共立出版 1983/04
シンクロスコープ技術(第2版) 長谷川英一 著 オーム社 1982/10
オシロスコープ・マニュアル`81 ラジオ技術臨時増刊号 ラジオ技術社 1981/06
オシロスコープ利用技術 古市善教 著 オーム社  1980/11
オシロスコープ入門 ソニー・テクトロニクス 著  非売品 1980/11
シンクロスコープ技術百科 山川正光 著 オーム社  1979/07
☆オシロスコープとアナコンの使い方  エレクトロニクス教育研究会  日刊工業新聞社 1978/06
テスタとオシロスコープ(改訂版) 鈴木 昇 著 理工学社 1973/09
オシロスコープの回路技術  ラジオ技術選別縮刷版  ラジオ技術社  1973/05
波形観測(オシロスコープ・テクニック・ガイド)  ソニーテクトロニクス 編 ラジオ技術社 1975/06
シンクロスコープ技術 長谷川英一 著 オーム社 1974/11
シンクロスコ−プの取扱い方 宮本義博 著 啓学出版 1974/12
オシロによるカラーテレビ修理 松瀬 清 著 日本放送出版協会 1970/12
シンクロスコープ (新訂版) 関 英男 監修 日刊工業新聞社 1969/07?
シンクロスコープの使い方 塩路俊夫 著 東京電機大学出版局 1967/08
オシログラフの理論と取扱(改訂新版) 木谷芳一 著 電気書院 1967/09
新版 オシロスコープの設計と取り扱い 藤巻安次 著 誠文堂新光社 1966/04
シンクロスコープ(改訂版) 関 英男 監修 日刊工業新聞社 1965/12
わかりやすいシンクロスコープ測定法 塩沢政美 著 産報 1965/11
新版 アマチュアのオシロスコープ技術 榎並利三郎 著 オーム社 1965/02
☆シンクロスコープ入門 藤巻安次 著 誠文堂新光社 1964/12
シンクロスコープ (新版) 関 英男 監修 日刊工業新聞社 1964/02
実用シンクロスコープ測定 山口意颯男 著 CQ出版社 1964/??
☆高速度ブラウン管オシログラフ 藤高周平、有働竜夫 共著 オーム社 1963/??
テスターとオシロスコープ 鈴木 昇 著 理工学社 1961/??
シンクロスコープ 岩井喜典 著 オーム社 1960/09
シンクロスコープ (初版) 関 英男 監修 日刊工業新聞社 1959/10
オシロスコープの設計と取り扱い 藤巻安次 著 誠文堂新光社 1958/06
超高周波オシログラフ 大脇健一、中村 正、前田晴雄 共著 日刊工業新聞社 1958/03
アマチュアのオシロスコープ技術 榎並利三郎 著 オーム社 1954/09
オシログラフの理論と取扱 木谷芳一 著 電気書院 1954/07
ブラウン管及陰極線オシログラフ 泉川 清、岡 修一郎 共著 共立出版 1944/03
陰極線オツシログラフと測定 加藤利治 著 ラジオ科学社 1940/09
☆陰極線オッシログラフ高速撮影法 久保 進 著 工業図書 1940/??
陰極線管に依る諸測定(B) 木下隆博 著 共立社 1938/03
陰極線管に依る諸測定(A) 木下隆博 著 共立社 1937/07
陰極線オシログラフ 笠井 完 著 共立 1937/06



2008年5月10日土曜日

NECの「Bit-INN東京」があった秋葉原の「ラジオ会館」の変わり様は

1970年代から90年頃まで、いわゆるバブル期に成熟商品になったFMチューナーやアンプ、カセットデッキ、CDプレーヤーなど、かっての中古システムコンポをチューンナップして販売している店が秋葉原にあります。
数年前に施行された電気用品安全法(PSE法)に抵触すると、中古AV機器などの販売が問題視され、一時的に経営危機に陥った、ここのお店がマスコミに紹介されもしました。その後、紆余曲折を経て、結果的には、ビンテージ商品の再販に道筋が付き今も営業を続けています。

ラジオ会館は日本のパソコン発祥の地

久しぶりにその店を秋葉原駅前のラジオ会館に訪れたところ、四階から五階に移転していました。しかし、残念な事に火曜と金曜日が定休日でガッカリ。
余談ですが、アキバの電気街は昔々から木曜日が定休日でしたが、時が移り今は、昔からの営業形態を踏襲する一部の電子電機パーツ店だけになり、多くは年中無休になりました。

アキバ系ご御用達の店へ変貌?
それにしても、久々、このラジオ会館(通称ラジカン)に行ってビックリしたのはテナントの様変わりでした。
昔から営業していて店名をよく覚えていたのは、プロユースのマイク、コネクタ、PA機器のトモカ、中古オーディオの清進商会、真空管オーディオ、アクセサリのキムラ無線くらい。日本電気の「BIT-INN東京」は既に撤退、日本電気の大手代理店FIRST POINTも移転していました。

入れ替わってテナントになったのは、俗にアキバ系と呼ばれる方々が、ご御用達とするカラフルで派手派手しいお店です。
この現状を見れば「ラジオ会館」とは名ばかりの存在になっていると思わざるにはいられません。

昔を思い起こせば、「ラジオ会館」は日本のパソコン発祥の地です。日本電気(NEC)のコミュニケーションサロンとしての "BIT-INN東京" は (日本のマイコンブームの火付け役となった "TK-80" が登場した) 1976年に開設され、その後、NEC初代のパソコン PC-8001が発売された頃から店舗が拡張され七階の半分くらいのスペースを占有していました。

TK-80→TK-80BS→PC-8001という "マイコン" から "パソコン" に移り変わる時期に "BIT-INN東京" は貴重な情報の発信基地であり、アキバでのNECファンにとっての聖地ともいえる特別な場所で、私も足繁く通いました。

その後、日本電気に続いて、日立製作所、東芝、三菱電機、富士通などが、相次いでパソコンの販売拠点、ショールームを開設し、日本に於けるパソコン普及の原点になりました。

それから四半世紀にわたりパソコンの啓蒙活動を展開してきた 日本電気は、その使命を果たした?として、この地を離れました。それに呼応してか?多くのパソコンメーカーや電器商が撤退し、変わって、アニメやコミックブック店、模型店などが相次いでオープンし客層が変化しています。

もはや、ここは、パソコンオタクや元ラジオ少年が足を踏み入れづらい場所になり、歴史も由緒もある「ラジオ会館」は "庇を貸して母屋を取られる" の例えの如く、名ばかりのビルになる日もそう遠くないと思われます。