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2006年11月23日木曜日

十六年間使い続けたトランシーバーを修理に出してみましたが

十六年間使い続けたケンウッド製のアマチュア無線用430メガ・オールモード・トランシーバーTR-851Dを修理に出した顛末が尻切れになっていました。

夏前から何となく具合が悪いと感じていたスケルチが、閉じっぱなしなり強い信号しか復調しなくなりました。開きぱなしなら未だ使いようもあったのですが、これでは全くのお手上げ状態です。それに、発表から二十年、購入からでも十六年も経た今日、果たして修理を受け付けてくれるか思案していました。
ケンウッド
430メガ オールモード トランシーバー
TR-851D
それでも、同時期に音の出なくなった三十年前のソニー製のラジオICF-7600は、ソニー本社内にあるサービスセンターへ持ち込んだところ、何とか修理して頂け機能が復活して驚くやら嬉しいやら・・・この事例に倣い思い切ってケンウッドのサービスセンターへ現物を送り込みました。

待つこと一週間ほど、ケンウッドから連絡があり約一万五千円ほど掛かるが修理可能と言われ、即お願いすることで返答しました。

それからまた一週間ほどして修理完了品として送り返されて来ました。
VOL/SQLとRIT/RF GAINのダブルシャフトボリュームが別に緩衝材で包まれていて、それが交換されたことが分かりました。製造中止になってからでも十五年は経ていると思われ、よくもまぁーサービスパーツとしてストックがあったと感心すると共にビックリしています。

早速、電源をONしてみましたが、いつもの聞き慣れた音が出てきてヤレヤレと安堵しました。
大きな放熱板がリアパネルに付いていて、FMのフルパワー送信でもほんのり熱さを感じる程度、ファンレスのため風切り音もなく静かで快適です。しかも、Sメータが正真正銘のメータ指針で、Sの変動も目でユックリと追えて使い勝手が非常に良いです。

現在はオールバンド・オールモードの時代で、取りあえず一台買えばソコソコの事が出来てしまう安直さはありますが、使い勝手では必ずしもユーザーフレンドリーとは言い難いモノがあります。
そんな意味で、このシングルバンドのオールモード機TR-851Dは、そのバンドに特化してトコトンその性能が発揮出来る下地があり、ユーザの期待を裏切らないマシンとしてマダマダ実戦に使えると思っています。

2006年11月18日土曜日

アマチュア無線家のバイブル「The radio amateur's handbook」1964年版

私のお宝のヒトツ、米国アマチュア無線連盟(ARRL)が1964年に発行したアマチュア無線家のバイブルとでも言うべき「The radio amateur's handbook」です。サブタイトルは、THE STANDARD MANUAL OF AMATEUR RADIO COMMUNICATIONとあります。

以前にご紹介した1934年版に比べれば、分厚く二倍ほどの厚み(3.2cm)で六百余ページにもなります。
四十二年前の発行ですが、この年は、東京オリンピックが開催された年、東海道新幹線が営業運転を開始した年、そして、この私が宮仕えを始めた年でもあります。

アマチュア無線局のコールサインの発給では、この頃は、JA1N##の後半からJA1O##の前半だった様に記憶しています。この頃のアマチュア無線界ではAMによる交信が主流で、多くの局がトリオ製の送信機TX-88Aと受信機9R-59を使用していました。

40年ぶりに日の目を見た
TRIOのTX-88A(下)と9R-59(上)
(私物)
電話級アマチュア無線技士の制度が出来てから五年くらい後、この無線従事者の免許の取得が急増していた時代でした。当時のアマチュア無線局局名録によると、その多くが3.5Mcと7Mcあるいは3.5Mcと7Mc、50Mcを無線局免許申請書の指定事項に記していたようです。

この頃になると、アマチュア無線機器のメーカー各社から数多くの魅力的な機能が付加された送信機や通信型受信機が発売されました。なかには完成品と半完成品(キット)の両方が用意され、腕に自信のある人は完成品より廉価なキットを組み立てることに果敢にチャレンジしました。

しかし、全て自分流と言う人も多く、送信機も受信機も、一つ一つ部品を集めての正に手作りでした。そんな時のお手本として、和書ではCQ ham radio、輸入の洋書としてこの「The radio amateur's handbook」は、多くのアマチュア無線家に教科書代わりとして大変重宝がられました。

もちろん、単にハードウェアとしての無線機を作るだけのガイドブックではなく、電子回路の解説、アンテナの理論、電波の伝わり方、電波の測定方法、無線局のレイアウト、混信妨害への対処、無線局の運用方法などなど、アマチュア無線家として知っておくべき諸々が懇切丁寧に解説されています。

それ故、「The radio amateur's handbook」は、その後も何かに付けてページを繰ってみるバイブル的な存在であり続けました。

The radio amateur handbook-41th edition 1964
時を経て紙質はそれなりに変色が見られますが、ページもシッカリと繰れて読むのに不自由はありません。

真空管時代が終わろうとする時期の発行ですが、内容的には日本とアメリカの差は詰まって来たように感じます。目次だけでも紹介しておきますと、

CONTENTS

The Amateur Code
Chapter 1 Amateur Radio
Chapter 2 Electrical Law and Circuits
Chapter 3 Vacuum-Tube Principles
Chapter 4 Semiconductor Devices
Chapter 5 High Frequency Receivers
Chapter 6 High Frequency Transmitters
Chapter 7 Power Supplies
Chapter 8 Keying and Break-In
Chapter 9 Speech Amplifiers and Modulators
Chapter 10 Amplitude Modulation
Chapter 11 Suppressed-Carrier and Singl Sideband Techniques
Chapter 12 Specialized Communication Systems
Chapter 13 Transmission Lines
Chapter 14 Antennas
Chapter 15 Wave Propagation
Chapter 16 VHF Receivers and Transceivers
Chapter 17 VHF Transmitters
Chapter 18 VHF Antennas
Chapter 19 Mobile and portable-Emergency Equipment
Chapter 20 Construction Practices
Chapter 21 Measurements
Chapter 22 Assembling a Station
Chapter 23 Interference With Other Services
Chapter 24 Operating a Station
Chapter 25 Vacuum Tubes and semiconductors

この「The radio amateur's handbook」は、アメリカにおいては、今も昔もアマチュア無線家の座右の書であるのは疑う余地はありません。 しかしながら、日本ではアマチュア無線のニューカマーに是非とも読んで欲しい、あるいは進んで読みたいと思う和書が無いのが実に残念です。できれば、ハードウェアの事は勿論ですが、ソフトウェア的な事についても、もっともっと知って欲しいと私は切に思います。

余談ですが、
昔は、SWLを何年もやって先輩局の一挙手一投足を注意深く見習い、年に二回しかなかったアマチュア無線技士の国家試験に何度か挑戦しました。
艱難辛苦のすえ国家試験に合格して、ようやく免許を授かり、そして無線工学書やCQ ham radio、ラジオ雑誌などを参考に試行錯誤しながらも無線機を製作し理論を実証する過程も経て、アマチュア無線局を開局する長い道のりがありました。

しかし今は、たった二日の講習会を履修することでアマチュア無線技士の免許が貰えて、アマチュア無線局の開局手続きも簡単、高性能な無線機の調達も簡単で、たいへん結構なご時世になりました。
そして準備が整えば、マイク片手に即「ジャパ〜ン アメリカ ナンバーワン・・・」なんて叫びつつ交信相手を捜し、応答があれば「おコエ掛け有り難うございます」、「シグナルレポートはゴトキューです」なんて、もう一人前のアマチュア無線通信士?になれます。

とても安直な時代になったと思いますが、アマチュア無線局を開局するのも簡単、閉局も廃局も簡単で、十年ほど前から毎年毎年アマチュア無線人口が減少していく傾向にあり、何処かに予想外?のボタンの掛け違いがあるのではないでしょうか?

2006年11月2日木曜日

SWRが予想外に良くて逆に困ってしまった

アマチュア無線用のUHFトランシーバーの電波の飛びがイマイチ良くない様に思われ、電波の発射状態をモニターする「SWR/パワー計」の必要性を感じ始めました。

それで、秋葉原のアマチュア無線機器の専門店「ロケット・アマチュアムセン本館」へ行き、144メガ/430メガ帯用で、掌に載るコンパクトなSWR/パワー計(SX27P)を買ってきました。

超短波帯専用のSWR/パワー計
このSWR/パワー計は、送信機から出た電波が効率良くアンテナから放射されているかをモニターする測定器であると同時に、アンテナの長さや間隔、高さなどの諸元を加減してアンテナと送信機との整合(マッチング)をはかる為にも用いられます。

それ故、アマチュア無線局の運用時には必ずこのSWR/パワー計のご厄介になっていると言って過言ではありません。
早速、送信機とアンテナの間に接続して測定してみたところ、意外や意外で測定結果の値がもの凄く良いのにビックリするやら、「そんなはず無い」っと、半信半疑の気持ちでもありました。

簡単に言えば、送信機からアンテナへ出て行く高周波電力と逆にアンテナから戻って来てしまう電力との比で決まる定数があり、これが小さい程、効率良く電波が放射される訳です。

現在使用している430メガのアンテナとしては、ダイアモンドのコリニア「U-200」とアローラインのグランドプレーン「AL-432F2」を使用していますが、どちらのアンテナも予想外の良好な測定結果が出ました。

ダイアモンドのコリニア・アンテナ「U-200」
アローラインのグランドプレーン・アンテナ「AL-432F2」

しかし、これには些か参りました。
電波の飛ばない原因がアンテナの整合(マッチング)が悪いと推測していましたが、この測定結果では問題ない事が分かり別の要因を調べる必要が出てきました。送信電力は人並みの30W程度はあり、後はアンテナの架設場所と高さが災いしている可能性があります。

でも、ハッキリ言ってこの問題の解決が一番難題です。
家の外回りでの作業でご近所と摩擦を起こさないようにする気遣いもしつつ、アンテナの架設位置や高さなどを変える作業があります。東京の住宅密集地区では、アンテナのマッチングと同時進行で、ご近所とのマッチングをとる事はなかなか難しく、直ぐには手が出せない状況です。暫くは様子見でしょうか・・・


コメント(アーカイブ)

始めまして。vhfuhfのswrの調整は比較的簡単に出来ますがhfはなかなかですよ。
小生はhf専門にそれも電信「和文」で出てますがね。
マンション住まいではなかなか難しい所ですけどね。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by  gqs at 2006.12.9 23:12:08
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アンテナの整合にはいつも手を焼いています。そのつど、屋外での試行錯誤が必要で、しかも独りでは出来かねる場合もあり骨の折れることです。
私も四十数年前から和文電信をやっています。
かって大学の電気通信学科では、電気通信術いわゆる トンツーの教科があり、三年間の履修の末にプロ一級の単位を取得しました。
卒業後、多くの級友は外洋行路の大型船に無線通信士として乗船していきましたが、私は内地に残り就職しました。
それでも、習ったトンツーはアマチュア無線で役立ちました。
実際には、送信スピードの早い人遅い人、符号に独自のクセのある人などなど、千差万別の符号が飛び交う訳ですが、常に受け手が100%解読できる、正確で適正なスピードで送信するよう心掛けています。
Posted by  BlueMac at 2006.12.10 22:59:58
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