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2020年6月8日月曜日

9R-59Dと9R-59DSの違い?は

1960年頃にトリオから発売されたアマチュア無線用通信型受信機の9R-59は、その相方になったアマチュア無線用送信機TX-88Aとペアを組み、当時のアマチュア無線局では定番の無線設備となった事は良く知られている。

TRIO  HF Receiver 9R-59D
それから六年後1968年頃に9R-59Dとしてモデルチェンジした。

この9R–59Dでは、中間周波段に、これまでの定番だった狭帯域IFT(T-11)3本組み代えて2個のメカフィルが使われた。
また,プロダクト検波を採用し、更にBFOは独立しSSB/CW受信も楽になった。
外観的には、クリチカルな同調操作では二重軸ダイヤルシャフトを採用し、大きな同調ツマミと共にスムーズな回転し大きな減速比でSSBの復調が可能となった。

しかし、先代の9R-59がロングランであったりして、新製品としての9R-59Dは、デビューのタイミングを逸してしまった。
この時、既に世の中はSSBの全盛時代であり、相方の送信機 TX-88Dとのトランシーブも出来ず、この9R-59Dは的外れなモデルチェンジとなってしまった。

結果的には、販売台数が予想を大きく下回り起死回生?の思いでトリオは1969年には9R-59DSと型番を改め再度のモデルチェンジした。だが目に見えて何も変わらず製品価格を19,900円から22,800円へ値上して多くのトリオファンを落胆させた。

今更になってこの両者(9R-59Dと9R-59DS)を見比べたが、外観はソックリだが中身も同じだったのか?当時のカタログを読み返してみたが、結局には価格以外に差異はよく分からず、虚しい気持ちだけが残った。



2020年4月15日水曜日

AM全盛期のトリオのアマチュア無線機

AM全盛期のトリオのアマチュア無線機(1960年代)
この時代の無線機の多くは完成品と球付きオールキットの併売だった。


9R-59/TX-88Aライン←アマチュア無線局定番のラインナップ
型番_名称_価格
9R-59 通信型受信機 33,000円、球無しオールキット18,500円
SP-5 専用スピーカ 1,950円
CC-6 50Mcクリスタルコンバーター 球無しオールキット  7,900円
TX-88A オールバンド送信機 球無しオールキット21,000円
TX-88 オールバンド送信機 球無しオールキット12,000円←TX-88Aとは全く別機種

オールバンド通信型受信機
型番_名称_価格
JR-60 オールバンド受信機 球無しオールキット  29,900円
JR-200 オールバンド受信機 球無しオールキット 14,500円

受信機用周辺機器
型番_名称_価格
SM-5 プリセレクター・コンバーター 球無しオールキット
CC-2 144Mcクリスタルコンバーター 球無しオールキット 7,900円
VFO-1 オールバンドVFO 球無しオールキット 11,000円

2m&6mバンド送信機
型番_名称_価格
TX-26 2m&6mバンド送信機 球無しオールキット12,000円
VFO-2 2m&6mバンド専用VFO 球無しオールキット 4,990円
2mバンドトランシーバー
TR-2 2mバンドトランシーバー 49,500円
6mバンドトランシーバー
TR-1000 6mトランシーバー27,500円← 50Mc携帯型では一番人気
TR-5000 AM/FMトランシーバー 39,800円← トリオ初の車載機

ディップメーター
型番_名称_価格
DM-6 グリッド・ディップメーター 7,990円

3.5&7Mcトランシーバー
型番_名称_価格
TRH-1 Sky Dream 球無しオールキット 23,300円← トリオ初のHFトランシーバー

SSBライン ← トリオ初のSSB機
型番_名称_価格
TX-388 SSB送信機 59,500円
SP-16 専用スピーカ 3,500円
JR-300S ダブルコンバージョン通信型受信機 64,000円

2020年4月10日金曜日

トリオのTX-88Aはキットだけ発売された

1960年代に定番だったアマチュア無線機は、トリオ(後のケンウッド)製の受信機(9R-59)と送信機(TX-88A)の組み合わせだった。
しかし、このTX-88Aは何故か?オールキットで発売され完成品は無し。

オールキットでは、電気回路を構成するCRとその他の小物部品や実体配線図・配線用の工程表・回路図などが同梱されたが、それ以外の高価な送信管(UY-807)とその他の真空管は自分で用意する必要があった。
それでも、アマチュア無線を趣味とする人達の多くは元ラジオ少年だったから各人各様に知恵を絞り難無く完成させた様だ。

TX-88A
発売から60年余が経った今日、ヤフオクでも多数の出品が見られるが元を正せば全てキット製品だ。
キットから仕上げたモノは当時のオーナーのスキルが丸見え、しかも、自分なりの改造は日常茶飯事で、回路図通りではないから今日にレストアする時にはしばし手が止まることになる。
シャーシー内部の配線で特徴的な事はビニール線の被覆の色だ。
この頃のトリオでは五色配線を用いて、
赤色はB回路
青色はヒーター回路
黒色は、接地回路
白色、黄色はその他の回路
回路別に色で区別していたが、実際にはキット故に各人各様の自己流もあり、必ずしもこの通りでは無いかも知れない。
それにキットでは、殆どがいわゆるイモ半田だ。
プロならば、リード線もCRのリードもラグ板や真空管のソケットの端子の孔に差し込みリードペンチで一回ひねって抜けない様にしてから半田付けするのが当たり前だが、アマの多くは差し込むだけのチョン付けのイモ半田で動作不良の原因だった。

高が半田付けだが、この辺がプロとのアマの力量の差かも知れない。



2016年9月10日土曜日

「9R-59Cライン」という言い方が、あったらしい?

自分がアマチュア無線局を開局したのは 1960年代の頃。
その頃、定番だったアマチュア無線機は、トリオ(後のケンウッド)製の受信機(9R-59)と送信機(TX-88A)の組み合わせだった。

1959年(昭和34年)、電信級電話級アマチュア無線技士の国家試験が開始され、以後、爆発的に免許所得者が増加した。
それに呼応するように製品化されたのが、この 9R-59と TX-88Aである。
どちらも、その性能とデザインでは、他社を寄せ付けず、AM時代を象徴する製品となった。

9R-59
さて、
最近になって、WEBで、「9R-59Cライン」と言う記述に気づき、その前後の文章を繰り返し読んでみた。製品名としての「9R-59C」は存在しないが、「9R-59」のキットを購入して完成させたモノを指すようだ。
推測だが、当時のトリオの製品である、TX-88Aを始め SM-5や VFO-1、CC-6なども、キットから完成させ、それら全体を引っくるめて「9R-59Cライン」と表現していたらしい。

要は、自分のリグは、全て、自分自身がキットから完成させたモノだと言う、いわゆる、ラジオ少年達の自慢話の発露だったのかもしれない。

ところで、何故に「Cライン」と呼んだのか?
当時、トリオは、完成品もオールキットも全く同じ外観の段ボールケースだった。それ故、梱包が済んでしまうと、完成品かキットか分からなくなってしまう。
それを区別するため、親指と人差し指を丸く合わせた位のゴム印で、段ボールケースの側面に、完成品は B、キットは C と捺印した時期があった。
ここから、Cラインが生まれたのではないかと思われる。

飽くまでも、製品管理用の目印で、型番とは縁がないが、誰でも目に付くところにあるので、それが切っ掛けになったのかもしれない。
その後、親指と人差し指を広げた位の(オールキットの)シールが貼られるようになり、最終的には、箱に直に印刷済みとなり、捺印が不要になった。

余談だが、この Bと C 以外に、A(セミキット)や D、Y、T などがあったが、キットのビジネスが衰退するに連れ、自然消滅したようだ。

しかし、「9R-59Cライン」という言い方を私は知らない。
当時、特定のグループあるいは特定の地域では恒常的に使われていたのか?少なくとも私の周辺では初耳だ。

2016年9月3日土曜日

半世紀前のトリオのアマチュア無線機の発売日だが

半世紀も前、春日無線工業株式会社(後のトリオ→ケンウッド)の製品の発売時期について、ネットで検索すると、その発売した年に諸説がある。

大昔のことでもあり、ご当人の記憶違いや記憶の薄れ?あるいは勘違い、なかでも一番危惧されるのが、ネットでの孫引きである。

検索で得た事柄の真偽を確かめること無く引用し、更にネットで広めてしまう。
それを、別人が、また検索で得て引用し、間違いがネズミ算的に拡散してしまう訳だ。

本論に戻るが、
春日無線工業(株)が発売した、6R-4Sや 9R-4/42、9R-4J/42J そして TX-1などの発売時期を私なりの考察で以下に示した。


手元にある、当時の春日無線工業(株)が発行した「トリオデータシート」や「トリオ製品価格表」それに同社発行の季刊誌「TRIO RADIO CLUB」を突き合わせ、読み取れる発売年は、明確に記してある。

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トリオ初の通信型受信機 6R-4S 1952年(昭和27年)発売?

発売年に確証が無い。
球無しセミキットで発売。完成品の受注も可とある。
1954年(昭和29年)の資料では、球無しオールキットも発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式の受注も可とある。

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トリオ初のプリセレクター(シグナマックス) SM-1 1954年(29年)発売?

1954年(昭和29年)のトリオ製品価格表では、セミキットと完成品、オールキットが掲載されている。
電源回路は無く、親受信機からお裾分けしてもらう仕組みだが、電源を内蔵した製品の受注も可とある。

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通信型受信機 9R-4 1954年(29年)中頃に発売

球無しセミキット(16,200円)と完成品(32,000円)の両方で発売。
翌年、1955年(昭和30年)から、球無しオールキット(27,700円)も発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式、メータ付きの受注も可とある。
資料では、9R-42も同時発売とある。

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通信型受信機 9R-42 1954年(29年)中頃に発売

当初、完成品のみ受注。
翌年、1955年(昭和30年)から、完成品と球無しオールキットを発売。

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トリオ初のアマチュア無線用送信機 TX-1 1954年(29年)年末から発売

社内仕分けでは、球無しセミキットであるが、部品表では、バリコンやコイル、メータ(10/100mA)、その他の小物部品とCR類、ビニール線(4m)などオールキットの体裁だ。

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通信型受信機 9R-4J/42J 1958年(昭和33年)中頃

同時発売、完成品と球無しオールキット(17,000円)での発売。推測だがセミキットは無し。

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アマチュア無線用送信機 TX-88 1959年(昭和34年)発売?
球無しオールキット 12,000円
発売年に確証が無い。ネットの検索で、TX-88のデーターシートの発行日付は1959年9月とあったが、他の機種でも発売日よりだいぶ間を置いて発行されていてそのまま鵜呑みは出来ない。
更に、1960年発行のCQ hamradio誌にTX-88の新製品広告のページがあるのを確認出来たが何月号?は不明。

電波法で、新たに施行された電信級/電話級アマ向けに企画された製品。
球無しオールキットでの発売。

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通信型受信機 9R-59 1961年(昭和36年)春に発売

JA1VBN局のHPに掲載の、ラジオ技術1961年3月号広告では、3月中旬発売予定とあり、この年の春頃に発売されたようだ。
完成品(33,000円)と球無しオールキット(18,500円)を発売。

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アマチュア無線用送信機 TX-88A 1961年(昭和36年)か翌年の37年には発売

9R-59より若干遅れての発売だった。
球無しオールキット(21,000円)のみ発売。


多くが、半世紀も前のことで、今日に至っては調べようが無い。
CQ ham radioのバックナンバーがあれば、年月は絞り込めそうだが、物量的に無理かもしれない。自分も何十年分か忘れたが、実家に置き去りにした全てが、古紙に変わっていたのを知り、ギブアップ。

冒頭にも書いたが、ネット検索は安直だが、孫引きが殆どで、信憑性に欠ける。
参考にはするが、そのまま鵜呑みは出来ない。
確証の得られる資料をお持ちの方が居られたら、ぜひ、コメント欄でお知らせ頂ければ幸甚である。

追記
CQ出版社のWEBサイトに「アマチュア無線の歴史」がある。
CQ ham radioのバックナンバーから、各社の新製品を拾い集めて制作した物だろう。
しかし、今回の件で検索しただけでも、間違いと思われるモノが相当数あり、全体の信憑性も疑われる事態だ。
例えば、6R-4Sを検索したところ、1956年の発売とあったが、それでは 9R-4より後になる。更に調べると、9R-4は見当たらず、キット 9R-42J(K)と言う(存在しない)型番で1954年に13,500円で発売とある。また、1959年にはキット 9R-4Jを発売とある。9R-59に至っては(完成品25,000円,キット14,350円)とあり、どれもこれも出鱈目(でたらめ)で、いい加減にせよ・・・
もはや真偽を問う以前の状態だ。
CQ出版社のWEBサイトですら、この有様だから、他のサイトでは推して知るべしか?

アマチュア無線の歴史

2016年7月30日土曜日

春日無線工業の「TRIO」ロゴだが、

ケンウッドの、その昔のロゴを知っている人は多いと思う。
それは、多くの場合、トリオ株式会社時代の Times系のロゴ、「TRIO」だと思う。
それ以前の春日無線工業株式会社時代のロゴも、おなじ TRIO だが、形が丸で違う。

今ではお目に掛かる事も無いが、9R-59や TX-88Aより前の製品が掲載されているカタログでは、この時代のロゴを付けた製品が見られるだろう。
具体的には、以下の様なモノだ。


ハッキリ言って、ダサい。
ロゴと言うことで、デザイン的に独自性を出したくて、こんな横棒?を付けたのかも知れないが、センスの無さを露呈している?

今さらに確認してみると、9R-59の初版のカタログの写真では旧TRIOロゴが付いた製品で撮られているし、製品添付の取扱説明書の表紙も旧TRIOロゴだ。

9R-59は、春日無線工業株式会社からトリオ株式会社へ社名変更する時期に重なって出て来たので、この様になっているが、暫時、修正されていったようだ。

インターネットで、この 9R-59の画像検索をすると、旧TRIOロゴの製品画像が予想外に多くヒットして、今さらに驚いた。
それ故、9R-59は、旧TRIOロゴを付けた物が、かなり生産されたのではないか?と推測する。なお、相方の TX-88Aは、少し遅れて出て来たので、最初から新TRIOロゴであり、混乱は無かったようだ。

JVCケンウッドに社名変更しても、KENWOODロゴは引き続き使用されている。

なお、英文表記の社名は以下の様なものが使われている。

有限会社春日無線電機商会/春日無線工業株式会社
KASUGA MUSEN KOGYO CO., LTD
KASUGA RADIO CO., LTD


トリオ株式会社
TRIO CORPORATION
TRIO RADIO CO., LTD
TRIO ELECTRONICS INC
TRIO KENWOOD CORPORATION

株式会社ケンウッド
KENWOOD CORPORATION

2016年7月28日木曜日

トリオのアマチュア無線機の出荷形態だが、

トリオのアマチュア無線機は、電話級・電信級アマチュア無線技士が誕生した1959年(昭和34年)頃を境に出荷が急増した。
当時は、キット・ビジネスが盛んになった時代でもあり、アマチュア無線機も例外なく、完成品とキット製品の両方が出荷された。

B があり完成品だ
トリオの場合、元箱は一貫して同じモノが使われた。
それ故、製品を段ボールケースへ収めてしまうと、完成品だかキット製品だか分からなくなってしまう。

社内は勿論のこと、販売店に至る迄、その区別を容易にする必要に迫られた。そこで出荷時に、一時期、段ボールケースの側面に、完成品には "B"、キット製品には "C"をゴム印で押印することになったと聞く。

それは、当時のカタログからも読み取れる。
引用すれば、以下の様だが、

9R-59 A セミキット(主要部品は全て取付済み。球無し、配線無し、CRや小物パーツ無し)
9R-59 B 完成品
9R-59 C 球無し、オールキット
9R-59 T 球付き、オールキット
9R-59 Y 球無し、配線済みキット

蛇足だが、「球無し」とは、全ての真空管を別途各自が買い揃えることの意味だ。
しかし、A, B, C以外は、実在したのか?記憶に無い。

スキルのあるラジオ少年の多かった時代だから、パーツも手持ちの物や秋葉原で買い揃える "A" が最初の頃は多かったようだ。勿論、主流は完成品の "B" だ。

アマチュア無線人口が増え始めると、"A" に代わり、オールキットの "C" が飛躍的に伸びた。全てのパーツが同梱され、大判の実体配線図も添付され、敷居が低くなったからだろう。

当時は、中古真空管のビジネスも盛んで、当然、新品より安く買えるので、球無しキットが持て囃された。極め付けは、球無し、配線済みキットで、動作しないから、ラジオとは認定されず、物品税が安かったのかも知れない?

今にして思えば、時代に即したビジネスモデルだったに違いない。

2016年7月27日水曜日

トリオの A1/A3時代の無線機だが、

これは、だいぶ前に親元で、虫干しを兼ねて押し入れを整理した時に撮っている。
デジカメのデータで確認すると、十年前の日付に我ながら驚いた。
それから今日までに、どの様に変わり果てたか?計り知れないが、来週には結論が出そうだ。
いずれも、トリオの半世紀も前のアマチュア無線機だ。


ここには写っていない、MW/SW通信型受信機(9R-59)と HF/50MHzマルチバンド送信機(TX-88A)を取りに行くことにしている。
9R-59
TX-88A
恐らく、元箱が無くて、ここに写っていないように思うが、お邪魔虫であることは確かだ。自分にとってはお宝?だが、身内の目ですら、厄介者で、タダのガラクタに過ぎないのだから・・・。

トリオの 9R-59キットのパーツ

下の二つは、トリオの半世紀も前の製品、MW/SW通信型受信機(9R-59)のキットに添付されたパーツ、 「9R-59 ''C'' KIT」と「9R-59 ''R'' KIT」だ。

台紙は、ほぼ A5サイズ

9R-59は完成品もあったが多くがキットだった。
キットは球無し、つまり、真空管は全て自分で買い揃える必要があった。主要パーツは既に取付済み、小物パーツと抵抗やコンデンサーと言った電子パーツは、台紙にズラリと取り付けてあった。

回路図を参照し、実体配線図を頼りに、この台紙からパーツを取り外し、所定の箇所へ取り付けて半田付けして行く訳だ。この作業に並行して、リード線を必要な長さにカットして、指定の箇所へ両端それぞれを絡げて半田付けする作業もある。
この台紙から全てのパーツが無くなれば、抵抗やコンデンサーの配線が終わったことを意味する。

全ての作業が終わったら、最終確認をして、真空管をソケットに差し込み、スイッチONとなる。実体配線図などがあるにしても、ずぶの素人には、キットとはいえ、やはり敷居は高い。

しかし、アマチュア無線を志す者、それ位のことは承知のはず。いわゆる、スキルのあるラジオ少年達が活躍の場を得ていたように思うし、その様な時代でもあった。

9R-59

2016年7月26日火曜日

トリオの 9R-59とTX-88Aの「ツマミ」

トリオの半世紀も前の製品だが、 MW/SW通信型受信機(9R-59)と HF/50MHzマルチバンド送信機(TX-88A)は、ある時から全ての「ツマミ」が変更されている。
今では、それに気付くことが無いかも知れないが、デザイン的には、かなり印象が違うように思う。

9R-59と TX-88Aが発売になって暫くは、黒色のツマミの前面にアルミ材のリングが付いていた。それが、いつの間にか?止めになり、同じアルミ材のディスク(円盤)がはめ込まれるようになった。

左が 6R-4S, 9R-4/42, ,9R-4J/42J & 9R-59/TX-88A前期、中央が後期、右が JR-60 & 9R-59D/TX-88D


リングとディスクとでは、アルミ材のピカピカ具合がかなり異なる。
因みに、リング付きのツマミは、6R-4Sから 9R-42Jまで使われていたモノと同じだ。それ故、引き続き 9R-59と TX-88Aで使われても不思議では無い。

カタログでも、CC-6を含め、リング付きのツマミが使われているのが分かる。
リング付きのツマミが分かる

しかし、ある時期から変更になったが、両方とも市販品らしく、秋葉原でも入手できた。

変更になった理由は、今となっては定かで無いが、製造元がサイズは同じだが、外観的に仕様変更したのではないかと推測する。

その後、トリオはこれに代わるツマミとして、純正のツバ付きタイプを量産化し、JR-60を始め 9R-59D、TX-88D などに採用した。

自分としては、リング付きのツマミの方が格好良い様に思うが、人それぞれかも知れない。


2016年7月25日月曜日

トリオの受信機 9R-59のパネル

1960年代半ば、訳あってトリオの受信機 9R-59を三台持っていた。
現在、そのうちの一台は親元に置きっ放し、二台目は遠い昔に親しい人へ譲った。三台目は色々な実験で手を加えた為、最後にはバラバラになり、今はパネルだけが残った。

チリメン塗装で、灰色と言うか?ライトグレーの様に見えるパネルで、どちらかと言えば地味っぽい。筐体も底板も同じチリメン塗装で一体感があった。

パネルだけは、開局当時を思い起こされる品であり、いつも手の届くところにある。
材質は、裏を返せば直ぐに分かるが、アルミの素地が今でもピカピカと光を反射している。

Siica Cardとのツーショット、9R-59のフロントパネル
表側だけチリメン塗装だ。
ちょっとザラザラしていて手触りは良くないが、汚れは目立たない。

しかし、何十年も手付かずでは、流石に往時の汚れが変色して目立つ様になった。
まず、水に潜らせ、使い古しの歯ブラシに食器用洗剤を付けて、軽くブラッシングしてみた。
予想以上に汚れが落ち、程々のところで水洗いした。

文字も、スッキリ、クッキリして、リーダビリティーも良くなった、正に59だ。

ところで、この文字だが、チリメン塗装をしてから、その塗装部分を文字の形に掻き取ることで、アルミの素地が露出しキラキラ文字として現れている。
だから、水洗いしても平気なのだ。

昔のことで推測だが、パネルの文字、いわゆるフォントは、Helvetica系の一書体しか無かったらしく、TRIOロゴの部分は苦労した形跡が見て取れる。

9R-59を買った時は、そんなことに気づきもしなかったが、いま思うに、往時では、それが精一杯の加工技術だったのかもしれない。

なお、パネルと同様に、筐体も底板も同じチリメン塗装だから水洗い出来るかもしれないが、こちらは鉄材だから、錆など防蝕には配慮が必要だ。

最後に、パネルも含め水洗いは自己責任であることをご承知頂きたいものだ。

トリオの 9R-59と TX-88Aのカタログ

トリオの半世紀も前の製品だが、 MW/SW通信型受信機(9R-59)と HF/50MHzマルチバンド送信機(TX-88A)のカタログを持っている。B5版の三つ折りで、当時は、どこのハムショップへ行っても置いてあり、ライトグリーンが印象的だった。

カタログ外側
カタログ内側

9R-59と TX-88Aのカタログだが、専用スピーカー SP-5と 50Mcクリスタルコンバーター CC-6も掲載され、それぞれの回路図まであった。

このカタログだけで、無線局に必要な機器は一通り掲載されている。つまり、これ一式さえあれば、憧れのシャックが完成するかと思うと、ワクワク感が一杯の時代だった。


2016年7月24日日曜日

トリオの 9R-59と TX-88Aの取扱説明書

トリオの MW/SW通信型受信機(9R-59)と HF/50MHzマルチバンド送信機(TX-88A)の取扱説明書が手元に有る。いずれも半世紀も前の印刷物ゆえに、汚れやシミ、紙質の劣化もあり、ページを繰るのも慎重にならざるを得ない。
9R-59とTX-88Aの取扱説明書

表紙に注目すると、社名ロゴの「TRIO」の形が異なることが分かる。

「9R-59」の TRIO は T と R のフォントにそれぞれ長い横線が付いているのが特徴的だ。
このロゴは春日無線工業時代に使われていたモノだ。

「TX-88A」の TRIO は、times系のフォントに似ていて、トリオ(株)に社名変更した1960年から使われ、1986年(30年前)、(株)ケンウッドへ社名変更に伴い廃止になっている。

つまり、「9R-59」は、春日無線工業時代の最後に製品化されている。
「9R-59」と「TX-88A」は、ほぼ同時期に製品化されていて、「TX-88A」は少し後、トリオ時代初の製品として扱われたようだ。

両方ともペラペラの説明書で、記述内容が通り一遍だったにも拘わらず、よくもこれでアマチュア無線が始められたものだと驚くばかり。
たぶん、多くがスキルの有るラジオ少年達だったから、説明不足も何のその、それぞれの知識が補い合って、アマチュア無線を楽しんでいたのだと推測される。
恐るべし、ラジオ少年達!

2016年7月23日土曜日

トリオの受信機 9R-59の系譜

戦後の七年を経て、1952年、五級スーパーに BFO/ANLを付加しただけだが、俗に言うオールウエーブ・ラジオとは一線を画すラジオが世に出た。

トリオが発売した通信型受信機 6R-4Sである。
受信周波数は、中波から短波までカバーし、戦時中は聴取が禁じられていた、海外からの短波放送の受信には持って来いの受信機だった。

それは、知る人ぞ知るだが、アメリカの同種のラジオ S-38とソックリ、正にパクリそのもの。それまで家庭にあるラジオと言えば、並四とか高一とかのオートダイン式で、安価だが性能もソコソコで、通信型受信機 6R-4Sのスーパーへテロダイン式は画期的だった。
それに直ぐに飛びついたのが、戦前からの短波受信の愛好者と漁業無線局、それとアマチュア無線局だった。

トリオの 6R-4Sは、その後、次々とモデルチェンジを繰り返し、その都度、販売数を伸ばしていった。

以下がその系譜だが、
1952年 6R-4S (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 10-30Mc)
1954年 9R-4  (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1954年 9R-42 (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)
1958年 9R-4J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1958年 9R-42J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)

基本的には 9R-42Jまで、以下の様に扇型のダイヤル窓が左右対称的に付いたデザインだった。

9Rシリーズの基本デザイン

しかし、1960年のモデルチェンジでは、そのデザインを一新した 9R-59が登場した。
フロントパネルの半分を占めるような横行ダイヤルが採用になり、周波数帶は 9R-4に先祖返りした。しかも、周波数微調のサブダイヤルも周波数直読になり、メインとサブのツマミが右側に揃い、使い勝手も非常に良くなった。

9R-59
完成品 33,000円、球無しキット 18,500円であったが、当時のアマチュア無線局に於ける必須の無線設備となり、トリオのアマチュア無線事業の確固たる礎を築いた製品となった。

その後、以下の様なモデルチェンジもあったが、時はSSB時代に入り、既に時代遅れの製品となってしまった。

1966年 9R-59D (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)
1969年 9R-59DS (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)


2014年5月24日土曜日

TS-990S、9R-59のダイヤルイメージを再現している

未だ JA プリフィックスしか存在し無かった半世紀前、既にベストセラーになっていたトリオ(現 KENWOOD)の通信型受信機に 9R-59 がある。
前モデルの 9R-42J からフルモデルチェンジし、外観も大きく変わった。
通信型受信機 9R-59
以前は、半円形のメインダイヤルとサブダイヤルが背中合わせに配置されて、それはそれでデザイン的にはバランスが取れて、見た目にも格好良かった。

ただし、当時の主要パーツの組み合わせでは、周波数の目盛の確かさも、それなりだった。しかし、当時のハム人口は今に比べて少なく、混信なども殆ど無くて、バンドエッジだけ気にしていれば、あとは、かなりアバウトだった。

昭和34年(1959年)から電話級/電信級アマチュア無線技士が誕生し、それまで、第一級と第二級アマチュア無線技士だけだったお空も活気付いた。それに呼応するかのように、9R-59 が新登場した。

フロントパネルの多くを占める周波数目盛板が特徴だった。
メインとスプレッドダイヤルの二つから構成されていて、曲がりなりにも周波数直読となっていた。
メインでバンドエッジに合わせ、スプレッドダイヤルで、そのバンド内の周波数を微調節できる仕組みとなっていた。また、Sメータは従来は丸型だったが、細長い縦型で指針が上下するタイプになり、デザイン的にも格好良さを演出していた。

このダイヤルのイメージをケンウッドの TS-990S が再現している。

左がメイン ディスプレイ、右がサブ ディスプレイ
メイン ディスプレイに、9R-59 のダイヤルイメージを表示することが可能になっている。

もちろん、縮小表示だが、オリジナルの雰囲気が再現されていて、Sメータまである。

選局はサブ ディスプレイでするが、メイン ディスプレイでもバンドのどの辺に居るのか、指針がダイヤルの動きに合わせて移動する仕組みだ。

主に BCL(SWL)に適していて、その他の機能はアマチュア無線バンドと変わり無く機能するので、帯域を広げたり狭めたりなどもできる。圧巻なのは、バンドスコープで 10kHz(5kHz)毎にピークが現れ、各国の短波放送局が居並んでいることが一目瞭然、BCLの醍醐味を実感出来て感激モノだ。
9R-59 のダイヤルイメージだけだが、50年も前の記憶を思い起こしてくれる TS-990S には脱帽だ。

2006年11月18日土曜日

アマチュア無線家のバイブル「The radio amateur's handbook」1964年版

私のお宝のヒトツ、米国アマチュア無線連盟(ARRL)が1964年に発行したアマチュア無線家のバイブルとでも言うべき「The radio amateur's handbook」です。サブタイトルは、THE STANDARD MANUAL OF AMATEUR RADIO COMMUNICATIONとあります。

以前にご紹介した1934年版に比べれば、分厚く二倍ほどの厚み(3.2cm)で六百余ページにもなります。
四十二年前の発行ですが、この年は、東京オリンピックが開催された年、東海道新幹線が営業運転を開始した年、そして、この私が宮仕えを始めた年でもあります。

アマチュア無線局のコールサインの発給では、この頃は、JA1N##の後半からJA1O##の前半だった様に記憶しています。この頃のアマチュア無線界ではAMによる交信が主流で、多くの局がトリオ製の送信機TX-88Aと受信機9R-59を使用していました。

40年ぶりに日の目を見た
TRIOのTX-88A(下)と9R-59(上)
(私物)
電話級アマチュア無線技士の制度が出来てから五年くらい後、この無線従事者の免許の取得が急増していた時代でした。当時のアマチュア無線局局名録によると、その多くが3.5Mcと7Mcあるいは3.5Mcと7Mc、50Mcを無線局免許申請書の指定事項に記していたようです。

この頃になると、アマチュア無線機器のメーカー各社から数多くの魅力的な機能が付加された送信機や通信型受信機が発売されました。なかには完成品と半完成品(キット)の両方が用意され、腕に自信のある人は完成品より廉価なキットを組み立てることに果敢にチャレンジしました。

しかし、全て自分流と言う人も多く、送信機も受信機も、一つ一つ部品を集めての正に手作りでした。そんな時のお手本として、和書ではCQ ham radio、輸入の洋書としてこの「The radio amateur's handbook」は、多くのアマチュア無線家に教科書代わりとして大変重宝がられました。

もちろん、単にハードウェアとしての無線機を作るだけのガイドブックではなく、電子回路の解説、アンテナの理論、電波の伝わり方、電波の測定方法、無線局のレイアウト、混信妨害への対処、無線局の運用方法などなど、アマチュア無線家として知っておくべき諸々が懇切丁寧に解説されています。

それ故、「The radio amateur's handbook」は、その後も何かに付けてページを繰ってみるバイブル的な存在であり続けました。

The radio amateur handbook-41th edition 1964
時を経て紙質はそれなりに変色が見られますが、ページもシッカリと繰れて読むのに不自由はありません。

真空管時代が終わろうとする時期の発行ですが、内容的には日本とアメリカの差は詰まって来たように感じます。目次だけでも紹介しておきますと、

CONTENTS

The Amateur Code
Chapter 1 Amateur Radio
Chapter 2 Electrical Law and Circuits
Chapter 3 Vacuum-Tube Principles
Chapter 4 Semiconductor Devices
Chapter 5 High Frequency Receivers
Chapter 6 High Frequency Transmitters
Chapter 7 Power Supplies
Chapter 8 Keying and Break-In
Chapter 9 Speech Amplifiers and Modulators
Chapter 10 Amplitude Modulation
Chapter 11 Suppressed-Carrier and Singl Sideband Techniques
Chapter 12 Specialized Communication Systems
Chapter 13 Transmission Lines
Chapter 14 Antennas
Chapter 15 Wave Propagation
Chapter 16 VHF Receivers and Transceivers
Chapter 17 VHF Transmitters
Chapter 18 VHF Antennas
Chapter 19 Mobile and portable-Emergency Equipment
Chapter 20 Construction Practices
Chapter 21 Measurements
Chapter 22 Assembling a Station
Chapter 23 Interference With Other Services
Chapter 24 Operating a Station
Chapter 25 Vacuum Tubes and semiconductors

この「The radio amateur's handbook」は、アメリカにおいては、今も昔もアマチュア無線家の座右の書であるのは疑う余地はありません。 しかしながら、日本ではアマチュア無線のニューカマーに是非とも読んで欲しい、あるいは進んで読みたいと思う和書が無いのが実に残念です。できれば、ハードウェアの事は勿論ですが、ソフトウェア的な事についても、もっともっと知って欲しいと私は切に思います。

余談ですが、
昔は、SWLを何年もやって先輩局の一挙手一投足を注意深く見習い、年に二回しかなかったアマチュア無線技士の国家試験に何度か挑戦しました。
艱難辛苦のすえ国家試験に合格して、ようやく免許を授かり、そして無線工学書やCQ ham radio、ラジオ雑誌などを参考に試行錯誤しながらも無線機を製作し理論を実証する過程も経て、アマチュア無線局を開局する長い道のりがありました。

しかし今は、たった二日の講習会を履修することでアマチュア無線技士の免許が貰えて、アマチュア無線局の開局手続きも簡単、高性能な無線機の調達も簡単で、たいへん結構なご時世になりました。
そして準備が整えば、マイク片手に即「ジャパ〜ン アメリカ ナンバーワン・・・」なんて叫びつつ交信相手を捜し、応答があれば「おコエ掛け有り難うございます」、「シグナルレポートはゴトキューです」なんて、もう一人前のアマチュア無線通信士?になれます。

とても安直な時代になったと思いますが、アマチュア無線局を開局するのも簡単、閉局も廃局も簡単で、十年ほど前から毎年毎年アマチュア無線人口が減少していく傾向にあり、何処かに予想外?のボタンの掛け違いがあるのではないでしょうか?