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2020年4月9日木曜日

春日無線工業(トリオ)のアマチュア無線機

春日無線工業(後のトリオ→ケンウッド)から発売された8機種のアマチュア無線機をリストしてみた。

最初の通信型受信機6R-4Sは、1952年頃の発売。最後のアマチュア無線用送信機TX-88は1959年に発売され、その翌年1960年にトリオ株式会社へ社名変更なっている。
TX-88の製品パネルには春日無線工業時代の旧TRIOロゴが確認出来る。
その多くが完成品とキットの併売で、電気工作に自信のある自作派が多かった時代だと思われる。
通信型受信機
型番_名称_価格
6R-4S 通信型受信機   完成品 17,550円、セミキット10,500円、オールキット 15,200円← トリオ初の通信型受信機
周辺機器
型番_名称_価格
SM-1 プリセレクター(シグナマックス) 完成品 8,700円、セミキット5,700円、オールキット 11,300円
通信型受信機
型番_名称_価格
9R-4 通信型受信機 完成品 32,000円、セミキット 16,200円、オールキット27,700円
9R-42  短波受信機(基本は9R-4と同じ)完成品 32,500円、セミキット 16,700円、オールキット

通信型受信機
型番_名称_価格
9R-4J 通信型受信機 (基本は9R-4と同じ)
9R-42J通信型受信機基本9R-42と同じ )
型番_名称_価格
送信機
TX-1 マチュア無線用送信機 セミキット16,700円 
TX-88 アマチュア無線用送信機 球無しキット 23,200円








2016年9月3日土曜日

半世紀前のトリオのアマチュア無線機の発売日だが

半世紀も前、春日無線工業株式会社(後のトリオ→ケンウッド)の製品の発売時期について、ネットで検索すると、その発売した年に諸説がある。

大昔のことでもあり、ご当人の記憶違いや記憶の薄れ?あるいは勘違い、なかでも一番危惧されるのが、ネットでの孫引きである。

検索で得た事柄の真偽を確かめること無く引用し、更にネットで広めてしまう。
それを、別人が、また検索で得て引用し、間違いがネズミ算的に拡散してしまう訳だ。

本論に戻るが、
春日無線工業(株)が発売した、6R-4Sや 9R-4/42、9R-4J/42J そして TX-1などの発売時期を私なりの考察で以下に示した。


手元にある、当時の春日無線工業(株)が発行した「トリオデータシート」や「トリオ製品価格表」それに同社発行の季刊誌「TRIO RADIO CLUB」を突き合わせ、読み取れる発売年は、明確に記してある。

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トリオ初の通信型受信機 6R-4S 1952年(昭和27年)発売?

発売年に確証が無い。
球無しセミキットで発売。完成品の受注も可とある。
1954年(昭和29年)の資料では、球無しオールキットも発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式の受注も可とある。

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トリオ初のプリセレクター(シグナマックス) SM-1 1954年(29年)発売?

1954年(昭和29年)のトリオ製品価格表では、セミキットと完成品、オールキットが掲載されている。
電源回路は無く、親受信機からお裾分けしてもらう仕組みだが、電源を内蔵した製品の受注も可とある。

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通信型受信機 9R-4 1954年(29年)中頃に発売

球無しセミキット(16,200円)と完成品(32,000円)の両方で発売。
翌年、1955年(昭和30年)から、球無しオールキット(27,700円)も発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式、メータ付きの受注も可とある。
資料では、9R-42も同時発売とある。

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通信型受信機 9R-42 1954年(29年)中頃に発売

当初、完成品のみ受注。
翌年、1955年(昭和30年)から、完成品と球無しオールキットを発売。

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トリオ初のアマチュア無線用送信機 TX-1 1954年(29年)年末から発売

社内仕分けでは、球無しセミキットであるが、部品表では、バリコンやコイル、メータ(10/100mA)、その他の小物部品とCR類、ビニール線(4m)などオールキットの体裁だ。

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通信型受信機 9R-4J/42J 1958年(昭和33年)中頃

同時発売、完成品と球無しオールキット(17,000円)での発売。推測だがセミキットは無し。

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アマチュア無線用送信機 TX-88 1959年(昭和34年)発売?
球無しオールキット 12,000円
発売年に確証が無い。ネットの検索で、TX-88のデーターシートの発行日付は1959年9月とあったが、他の機種でも発売日よりだいぶ間を置いて発行されていてそのまま鵜呑みは出来ない。
更に、1960年発行のCQ hamradio誌にTX-88の新製品広告のページがあるのを確認出来たが何月号?は不明。

電波法で、新たに施行された電信級/電話級アマ向けに企画された製品。
球無しオールキットでの発売。

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通信型受信機 9R-59 1961年(昭和36年)春に発売

JA1VBN局のHPに掲載の、ラジオ技術1961年3月号広告では、3月中旬発売予定とあり、この年の春頃に発売されたようだ。
完成品(33,000円)と球無しオールキット(18,500円)を発売。

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アマチュア無線用送信機 TX-88A 1961年(昭和36年)か翌年の37年には発売

9R-59より若干遅れての発売だった。
球無しオールキット(21,000円)のみ発売。


多くが、半世紀も前のことで、今日に至っては調べようが無い。
CQ ham radioのバックナンバーがあれば、年月は絞り込めそうだが、物量的に無理かもしれない。自分も何十年分か忘れたが、実家に置き去りにした全てが、古紙に変わっていたのを知り、ギブアップ。

冒頭にも書いたが、ネット検索は安直だが、孫引きが殆どで、信憑性に欠ける。
参考にはするが、そのまま鵜呑みは出来ない。
確証の得られる資料をお持ちの方が居られたら、ぜひ、コメント欄でお知らせ頂ければ幸甚である。

追記
CQ出版社のWEBサイトに「アマチュア無線の歴史」がある。
CQ ham radioのバックナンバーから、各社の新製品を拾い集めて制作した物だろう。
しかし、今回の件で検索しただけでも、間違いと思われるモノが相当数あり、全体の信憑性も疑われる事態だ。
例えば、6R-4Sを検索したところ、1956年の発売とあったが、それでは 9R-4より後になる。更に調べると、9R-4は見当たらず、キット 9R-42J(K)と言う(存在しない)型番で1954年に13,500円で発売とある。また、1959年にはキット 9R-4Jを発売とある。9R-59に至っては(完成品25,000円,キット14,350円)とあり、どれもこれも出鱈目(でたらめ)で、いい加減にせよ・・・
もはや真偽を問う以前の状態だ。
CQ出版社のWEBサイトですら、この有様だから、他のサイトでは推して知るべしか?

アマチュア無線の歴史

2016年8月5日金曜日

9R-4/ 9R-42と同世代のトリオのオーディオ製品とは

通信型受信機 9R-4や 9R-42を立て続けに製品化していた春日無線工業(後のケンウッド)だが、時を同じくして、将来の経営の柱になる FMチューナーやアンプ、ステレオレシーバーなど、いわゆるオーディオ事業に参入し始めた。
昭和30年代の前半のことで、具体的には、どの様な製品を世に出したのか?分からないでいたが、たまたま、古い資料を整理していて、当時のカタログの様なモノを見つけ出した。
以下だが、型番からして、若く、正しくトリオのオーディオの原点になった製品のようだ。

上から順に、
Model HF-1 可変帯域HiFiラジオチューナー 完成品 8,330円、球無しキット 5,460円
Model HF-2 HiFiラジオチューナー付プリアンプ 完成品 14,700円、球無しキット 8,600円
Model HF-3 13W 6V6pp メインアンプ 完成品 17,500円、球無し完成品 14,420円



上から順に、
Model HF-6P プリアンプチューナー 完成品 15,400円
Model HF-8PM トライアンプ 完成品 29,800円
5M-2 2バンドホームラジオ 価格不詳



他にも以下の型番の製品があるのを確認したが、立て続けに商品化を進めていたことが窺い知れる。

Model HF-5 プリアンプチューナー
Model HF-6 HiFiアンプ
Model HF-7 HiFiアンプ

これまでのアマチュア無線用の通信型受信機の開発スピードに比べ、一気に、これだけのオーディオ製品を商品化していることは、今にして思えば驚きだ。

蛇足だが、
型番のプリフィックス、HF は High Fidelity(高忠実度、高再現性)を意味してのことかも知れない。

追記
ヤフオクで、HF-1を見つけ削除される前にダウンロードさせて貰った。
外観は痛みが激しかったが、画像処理アプリ Adobeの Photoshopを用い、私なりにレタッチして本体だけをクロップした。
ツマミがカタログとは異なるが、本来の姿を窺い知れる状態に安堵した。これが、トリオが世に出した最初のオーディオ製品なのだろう。
TRIO AM Tuner  Model HF-1 

2016年8月2日火曜日

トリオ、なぜ 9R-4J/42Jは誕生したのか?

戦後五年を経過して、1950年(昭和25年)に電波法が施行され、翌年からアマチュア無線技士の国家試験が開始、更に翌年、アマチュア無線局の免許申請も受付が始まった。

それを待っていたかのように、1952年、春日無線(後のケンウッド)は五球スーパーに BFOと ANLの回路を付加した受信機 6R-4Sを発売した。(BFOと ANLが無ければタダのラジオだが) 外観も含め、一応、通信型受信機と呼べる物だった。


見た目は、アメリカの通信機メーカー Hallicrafters社の S-38と言う通信型受信機にソックリ、今風に言えば、パクリその物だった。
戦後間もない頃で、アメリカの事情には疎く、並四や高一ラジオに見飽きていた人々には、斬新ささえ感じたようだ。

この 6R-4Sから二年が経った1954年に、トリオの通信型受信機の礎となる 9R-4が発売になった。と、同時にアマチュア無線用に特化した 9R-42もラインナップされた。
高周波一段中間周波二段、いわゆる「高一中二」と呼ばれ、この当時の通信型受信機の完成型と言っても過言では無い。

それから四年が経った1958年、
型番の末尾に "J" を付け足した 9R-4Jと 9R-42Jが登場した。
フロントパネルを見ると直ぐに気付くが、CW/SSB受信用にBFOのピッチコントロールのツマミが新たに追加された。それ以外に電源部も見直された。
では何故 "J"なのか、いま以て分からないでいたが、ネット検索での結果、アマチュア無線雑誌 CQ ham radio(1959年4月号)で、設計に携わった横山耕三(JA1SR)が執筆したトリオ9R-4J紹介の記事(9R4と9R4Jはどうちがうのか)に、”J”はJuniorに通じるとあり、これが型番の末尾の”J”の由縁と理解した。

外観を見比べるとよく似ているが、内部を覗いて誰もが納得した。

9R-4 と9R-42の真空管
6BD6(RF) - 6BE6(MIX) - 6SK7(IF) - 6SK7(IF) - 6SQ7(AF) - 6V6(PA)
6BE6(OSC), 6SN7(BFO/ANL) & 5Y3(RECT)

アンダーラインはGT管、その他はMT管

9R-4Jと 9R-42Jの真空管
6BD6(RF) - 6BE6(MIX) - 6BD6(IF) - 6BD6(IF) - 6AV6(AF) - 6AR5(PA)
6BE6(OSC), 6AV6(BFO/ANL) & 5Y3(RECT)

何が変わったのか?
9R-4 と9R-42に採用された真空管は、MT管と GT管の混在だった。
それが、9R-4Jと 9R-42Jでは一目瞭然、整流管の 5Y3を除き、残り全てが MT管に入れ替わっていた。

では、何故に、MT管と GT管の混在だったのか?
往時、その事情に通じた人から聞いた話だが、MT管の調達コストが高かった為だと言う。

その後、五球スーパーが一般家庭に普及しはじめ、MT管の価格も大量生産で下がり始めた。

それと時期を同じくして、春日無線は、将来の経営の柱となる、FMチューナーやアンプ、ステレオレシーバーなど、いわゆるオーディオ市場へ参入した。

当然、MT管の調達数は、アマチュア無線機の必要数よりゼロが一桁多く、必然的に調達コストは大幅に安くなった。
そうなれば、GT管を使うコストメリットは全く無しとの判断に至り、5Y3以外は、MT管へ総取っ替えになった。真空管の良いところは、同等管との差し替えであれば、回路定数の変更も殆ど必要無く、置き換えられることだ。

言ってみれば、このモデルチェンジ、
ただただ、メーカーのご都合によるもので、ユーザーは惑わされただけかもしれない?

蛇足ながら、
それから二年後、更に 9R-59へモデルチェンジしたが、6BD6を 6BA6に、6AR5を 6AQ5に差し替えた以外、真空管のラインアップは、そのまま踏襲された。
最後まで居残った GT管の 5Y3は、9R-59Dで、やっと半導体に置き換えられ、お役御免になった。

2016年7月23日土曜日

トリオの受信機 9R-59の系譜

戦後の七年を経て、1952年、五級スーパーに BFO/ANLを付加しただけだが、俗に言うオールウエーブ・ラジオとは一線を画すラジオが世に出た。

トリオが発売した通信型受信機 6R-4Sである。
受信周波数は、中波から短波までカバーし、戦時中は聴取が禁じられていた、海外からの短波放送の受信には持って来いの受信機だった。

それは、知る人ぞ知るだが、アメリカの同種のラジオ S-38とソックリ、正にパクリそのもの。それまで家庭にあるラジオと言えば、並四とか高一とかのオートダイン式で、安価だが性能もソコソコで、通信型受信機 6R-4Sのスーパーへテロダイン式は画期的だった。
それに直ぐに飛びついたのが、戦前からの短波受信の愛好者と漁業無線局、それとアマチュア無線局だった。

トリオの 6R-4Sは、その後、次々とモデルチェンジを繰り返し、その都度、販売数を伸ばしていった。

以下がその系譜だが、
1952年 6R-4S (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 10-30Mc)
1954年 9R-4  (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1954年 9R-42 (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)
1958年 9R-4J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1958年 9R-42J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)

基本的には 9R-42Jまで、以下の様に扇型のダイヤル窓が左右対称的に付いたデザインだった。

9Rシリーズの基本デザイン

しかし、1960年のモデルチェンジでは、そのデザインを一新した 9R-59が登場した。
フロントパネルの半分を占めるような横行ダイヤルが採用になり、周波数帶は 9R-4に先祖返りした。しかも、周波数微調のサブダイヤルも周波数直読になり、メインとサブのツマミが右側に揃い、使い勝手も非常に良くなった。

9R-59
完成品 33,000円、球無しキット 18,500円であったが、当時のアマチュア無線局に於ける必須の無線設備となり、トリオのアマチュア無線事業の確固たる礎を築いた製品となった。

その後、以下の様なモデルチェンジもあったが、時はSSB時代に入り、既に時代遅れの製品となってしまった。

1966年 9R-59D (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)
1969年 9R-59DS (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)