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2015年2月25日水曜日

「シンクロスコープ入門」、久々だが、このジャンルの古書に遭遇した、

神田神保町の技術書を専門に扱う古書店で、「シンクロスコープ入門」を見付けた。
十年来、探していた本であり、このジャンルの書籍を蒐集している自分にとって、幸運な巡り会いとなった。

誠文堂新光社が、昭和40年代に企画した「無線と実験シリーズ」の一冊として、トリオ(後のケンウッド)のオシロスコープの主任設計者だった藤巻安次の著である。

初版は、昭和39年12月の発行だが、元々は、昭和33年に同じ誠文堂新光社から発行された単行本の「オシロスコープの設計と取り扱い」の内容をシリーズ化するにあたり、内容の一部を書き改めたもののようだ。

内容的には、オシロスコープのハードウェアとしての解説に終始していて、オシロスコープを用いての測定方法など、ソフトウェアに付いての解説は一切無い。
それ故、オシロスコープを使う現場での若い技術者には参考にならない?参考書だったとも言えそうだ。

最初の著作では、オシロスコープを使っての幾つかの測定方法も記述されていて、ベーシックな部分では、敷居もいくぶん低かったようだが、シリーズ化に合わせ、出版社側の意向が反映されたのかも知れない。

少し気になったのが、最初は「オシロスコープ」だったが、シリーズ化で「シンクロスコープ」と変えていることである。たぶん、当時、岩通が、オシロスコープのメーカーとして、一歩リードしていて、自社のオシロスコープの商標を「シンクロスコープ」とし、それが広く知れ渡ったためと思われる。

しかし、1970年代以降は、日本からのオシロスコープの輸出も急増し、和製英語の様な「シンクロスコープ」は、現地では通用せず、何時しか元々の「オシロスコープ」へ統一されていった。
その名残か?シンクロスコープと口に出す、かってのエンジニアも少なく無く、今となっては苦笑するばかりだ。


2015年2月23日月曜日

何の変哲も無い? ナショナルの「ワールドボーイ GO」だが、

その存在すら忘れていたラジオを棚の整理の際に見付けた。
ナショナルの ワールドボーイ GO 「RF-670」 だ。
記憶を辿るが、たぶん、FM放送が聴きたくて 1968年頃に買った様な気がする。
今となっては、何の変哲も無い FM/AMラジオだが、フロントパネルがメタリック調のシンプルなデザインが気に入っていたのかも知れない。

ナショナル FM/AMラジオ RF-670

選局ダイヤルは、円筒形のローレット加工で、右親指が自然とタッチする位置にありスムーズなチューニングが出来た。音量ツマミは左サイドにあり、円盤形の円周部分に左親指を当てて回した。
FM/AMのバンド切替や、TONEの LOW/HIGH、AFCの ON/OFFなどのスライドスイッチは、リヤパネルに並んでいる。
バーアンテナが結構長くてAMの感度は意外と良好、スピーカーは、このクラスとしては大きく、聴き易い音だった。単三電池四本を電源としていたが、9石トランジスターでも、電池の減りが激しく長時間は聴けなかった。

これと言って、特徴の無い FM/AMラジオだったが、各地で FM放送が本格的に始まった時期でもあり、AMに飽きて、FMの高音質や臨場感に期待する若者に注目されたようだ。

フロントパネルに、「NATIONAL PANASONIC」と銘板があり、この当時から「ナショナル」から「パナソニック」へ移行しようとする意図があったようだが、実現したのは、つい最近のことだ。
因みに、当時の価格は 9,200円。半世紀を経た今日、似た様なラジオが 5,000円くらいで買えるとは、何とも歴史を感じるラジオである。

人気のあった、この「ワールドボーイ」シリーズだが、70年代の始め頃、俄に起きたBCLブームに触発され、短波放送の受信をメインにした「クーガー」シリーズへ代替わりしたのを、今も忘れない。

2015年2月21日土曜日

ラジオ技術、創刊号を神田神保町の古書店で買った、

久々行った神田神保町の古書店で、「ラジオ技術」の第一巻一号と遭遇した。
このラジオ技術は、昭和22年に四月号として(株)科學社から発行された正しく創刊号だ。
なお、主筆の石井富好は、歴史ある「無線と實験」の元編集長である。

ラジオ技術の創刊号

今から68年も前、昭和22年4月の発行で、現在のモノは B5版だが A5版と一回り小さい。
表紙はシャーシーが剥き出しの「6球式全波スーパー」で、本文でその内容が解説されている。
裏表紙は、ナショナルの 8球最高級全波受信機の広告があり、価格は何と 4.500円、本書は 10円とあり、桁違いで、ラジオの自作も頷ける話しだ。
退色が著しく、用紙も黄ばみ変質して、丁寧に扱わないと千切れてしまう恐れもあり、六十余年の時を経て来たことがわかる。

左が裏表紙、右が表紙

終戦から未だ二年も経たない時期に、本号が発行されていて、戦後の復興は始まったばかりで、大衆娯楽の映画まだまだ、家庭での唯一の楽しみはラジオの聴取だった。
そんな時期に、類書も数多く発行され、安価な真空管式ラジオの製作記事で溢れていた。ラジオ技術も時を同じくして創刊されている。

私がラジオの製作を始めたのは、これから十年ほど後、中学生の頃からだ。
毎週土曜日には決まって秋葉原のジャンク屋通いで部品を買い集めた。そして、ラジオ技術やその他のラジオ雑誌にある鉱石ラジオから並三ラジオ、並四ラジオ、高一ラジオなどを、片っ端から作っては壊しの繰り返しだった。
それだけでも充実した時間が過ぎたが、その後の自分の半生が、その時に決まった様にも今更に思い出す。

この創刊号の目次だけでも以下に紹介しておくが、今となっては記事にならないモノも多い。
論説 ラジオ技術者の道
音響 いわゆる”ラジオ聲”の原因
今月の技術 列車無線機の解説
基礎理論 放送受信機試験問題と解答
電子管 真空管の特性曲線と利用法
    昭和21年度受信機品種基準
設計 ラジオ受信機設計講座
   図表による電源変圧器の設計
NHKのページ 現場に訊く”街頭録音”
音響 スピーカーの正しい選び方
   ピックアップの正しい選び方
   新機構ピックアップ解剖記
図表 日本全国放送局一覧表
製作 自動電圧調整器の製作法
   6球式全波スーパーの試作
   6V6pp の拡声装置の製作
   初歩者の五球式短波受信機
   4球式トランスレス受信機
   2A6ー2A3直結結合増幅器
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