ソロソロ発売から一年になるケンウッドのHFトランシーバーTS-590Gシリーズ。それまでの TS-590シリーズからのグレードアップと言うか、改良改善がそのスペックに現れている。
カタログからその一部を引用すれば、
「ケンウッドが誇る高性能HF機“TS-590”の基本性能をさらに磨きあげて“TS-590Gシリーズ”は誕生しました。ルーフィングフィルターの性能を生かしきる受信回路構成、 進化したDSP技術が実現する最適なIF AGC制御など、DX’erの期待に高いレベルで応える、新世代の高性能HF機です・・・」とある。
なかなか魅力的な特徴が列挙されているが、ケンウッドのトランシーバーに初めて採用された機能がある。
それが、「モールス符号デコーダー」である。
メインダイヤルの右側の 13セグメント表示部にスクロール表示される仕組みで、受信音と同時に文字列として視認させようとするモノだ。
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左の取扱説明書の記述によれば、「CW」モードを選び、「DATA」を押す。更にスレッショルドレベルの調整をする、とある。
操作の手順は至って簡単である。
その通りにすれば、モールス通信を傍受するだけで意味ある文字列が読み取れると期待してしまう。
しかし、現実には、そんな期待は甘いようだ。
実際には、アルファベットの E と T がランダムに表示され、その合間合間にアルファベットの文字が挟まるようにスクロールして行くが、意味ある単語としては理解できない。
何故に E と T がランダムに表示されるのか? モールス符号が分かる者には容易に納得できる話だが・・・
しかし、取扱説明書には、これ以上の記述も無く、お手上げ状態でいた。
後日、たまたま入手した、下にある 「TS-590G Series 徹底解説集」 の 「5.9 モールス符号デコーダー」 に補足的な記述があり、これも合わせて読んでみた。
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しかし、なかなか思い通りの結果は得られていない。
ソフトウェアによるモールス通信のデコードだが、空間を伝播してくる電波の強弱や混信とか空電、雑音、フェーディングなど、予期せぬ外乱にも影響され、常に良好に受信出来るとは限らない。
それ故、解読は水物的で、上手く行ったらラッキーくらいで考えておいた方が無難だろう。
余談だが、
放送や通信の世界では衛星経由が当たり前になり、いま更に、いわゆるトンツーの代名詞で知られた電鍵を叩く無線通信はプロの世界からは全廃された。
では、アマチュア無線の世界ではどうか?と言えば、未だ未だ、一部では使われている。
理由としては、遠距離になればなるほど電波が弱くなり聴き取り難い無線電話だが、無線電信なら交信できる可能性が高いことと、英会話が苦手でも予め定型的な文言をメモして置いて、適宜、その短文をトンツーで送信することで、取り敢えずは意思の疎通が出来ることにある。
近年、アマチュア無線技士の国家試験からも、モールス符号の送受信が廃止された。
だが、国家試験が無いことで、誰でも勝手にモールス通信をやって良い訳では無い。
日本のアマチュア無線技士の資格の内、九割強を占める、いわゆる四級資格の免許者には、その操作範囲に無線電信は含まれていないからだ。
つまり、「無線電信」は上級資格者の数少ない特権とも言えそうだ。
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