神田神保町へ出掛けた折り、昨秋に閉店を予告していた古書を扱う篠村書店へ立ち寄った。
未だ商いをしていて、靖国通りに面した店の入り口には「全品3割引き」と書かれた紙が張られていた。
奥に座る店主によると、遂に今月末で店を閉じると言う。すでに仕入れを止め、書架に空きが目立ち、在庫は二、三割のスペースまでになっていた。
かっては、書棚に、「鉄道ピクトリアル」、「鉄道模型趣味」、「鉄道ファン」などの雑誌や、70年代や80年代の国鉄時代の時刻表が並び、鉄道人気に合わせた、鉄道関連の古書が多かったようだ。
他に、年代物の飛行機や自動車関連の図書も僅かながら残っていたが、そんな中に「模型とラジオ」を見つけた。
模型とラジオ、左が1963年(昭和38年)3月号、右が1959年(昭和34年)1月号 |
月刊誌だっただけに、創刊号とか号数を意識しなければ、他の書店でも巡り会うことはあるが、ただただ懐かしさが優先して買ってしまった。
1959年(昭和34年)1月号と1963年(昭和38年)3月号の二冊だ。
特に、記事内容に引かれた訳では無いが、巻末に掲載の「科学教材社」の通販カタログが、何とも当時の読書には魅力的だった。
鉄道模型工作、模型飛行機、船舶工作、各種の模型工作、トランジスタラジオの作り方、真空管ラジオのキット、望遠鏡、ホビーカメラなどなど、見ているだけで子供心を擽るモノが満載で、見飽きることが無い。
また、広告も懐かしい。
トランジスタラジオのキットのミツミ、鉄道模型のカワイ、真空管のNECやロダン、アポロ、ゲルマの狐崎電機、望遠鏡のミザール、成東商会、 トランジスタラジオのファースト電機、TKKマブチモーターの東京科学、エレキットの光和、プラキットのトミーなど、多くを忘れていたが、既に半世紀を過ぎていて現存する会社は少ない。
活字も小さく、この歳のこの目には辛いモノがあるが、時間を掛けて往時を思い出しつつ読んでみたい。
余談だが、本誌と当時のライバル誌のプロフィールは以下のようだ。
模型とラジオ(略称は模ラ)
1955年(昭和30年)に創刊、科学教材社が発行した、子供向けの工作科学雑誌である。昭和期の子供たちに電子工作、模型工作を通して科学への関心を育んだ雑誌として知られる。
往時は、巻末には、「科学教材社」の広告が付いていて、これも見逃せない魅力ある?内容だった。
往時は、巻末には、「科学教材社」の広告が付いていて、これも見逃せない魅力ある?内容だった。
1984年(昭和59年)に廃刊した。
子供の科学(略称は子科)
1924年(大正13年)に創刊し、以来92年の歴史ある月刊誌である。
「子供の科学」は、誠文堂新光社による出版である。子供向け科学雑誌であり、戦前から科学を子供が平易に学べるように編集されている。
「模型とラジオ」と同様に科学教材社の広告が巻末に付いた。
初歩のラジオ(略称は初ラ)
1948年(昭和23年)に創刊。誠文堂新光社が発行した、エレクトロニクス専門入門誌である。同社の「子供の科学」と「無線と実験」の間を埋めようなレベルで、ラジオや電子工作の記事を主に掲載した。
1992年(平成4年)に休刊した。
「模型とラジオ」と同様に科学教材社の広告が巻末に付いた。
ライバル誌として、電波新聞社の「ラジオの製作」があった。
ラジオの製作(略称はラ製)
1954年(昭和29年)に創刊。電波新聞社が発行した月刊誌である。アマチュア無線、パソコン、オーディオ、BCL、エレクトロニクスの総合入門雑誌である。ライバル誌として誠文堂新光社の「初歩のラジオ」であった。1999年(平成11年)に休刊。
自分は、小学生時代は、「子供の科学」を定期購読していたが、中学へ進学してから、一足飛びにアマチュア無線の専門誌である「CQ ham radio」へ興味が移って、その後の成り行きを知らない。
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