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2006年9月27日水曜日

十六年間使い続けたアマチュア無線機TR-851Dが・・・

十六年間使い続けたケンウッド製のアマチュア無線用430メガ・オールモード・トランシーバーTR-851Dが故障してしまいました。
少し前から何となく具合が悪いと感じていたスケルチが、閉じっぱなしなり強い信号しか復調しなくなりました。開きぱなしなら未だ使いようもあったのですが、これでは全くのお手上げ状態です。

ケンウッド
430メガ・オールモード・トランシーバー
TR-851D
このケンウッドの「TR-851D」は、確か1986年の暮れに発表になり購入したのは1990年春の頃で、そろそろ後継機となるTMシリーズが発表になるような頃だったと思います。

その頃は今とは違いアマチュア無線の絶頂期で競合各社から沢山の無線機が発表され、品定めにも迷うような買い手市場でした。
そんな時期だからシングルバンドのオールモード機も出番があったようです。特定のバンドに特化しているためトコトンその性能が発揮出来る下地があり、ユーザも期待を裏切らないマシンに惚れ込んでいた時期でもありました。

さすが、今日ではオールバンド・オールモードの時代で、取りあえず一台買えばソコソコの事が出来てしまう安直さはありますが、使い勝手では必ずしもユーザーフレンドリーとは言い難いモノがあります。

430メガはご存じのように超短波の範疇ですから、電波はほぼ直進するため都市部では高いビルが壁になって進路を遮られ、また、反射して想定外の方向へ飛んで行く事になります。波長の長い短波に比べ電波の到達距離は短い代わりにアンテナの長さは十分の一以下で済むため架設が簡単で、都市部の住宅密集地区でも数メートル単位のアンテナでアマチュア無線が楽しめるメリットもあります。

私の居所も土地柄ですが、長いアンテナを架設する事が難しく、短波の運用も可能ですが、どちらかと言えば超短波のアマチュア無線バンドを使用して交信する事がこの十年は多かった様に思います。

430メガバンドは、今はどちらかと言えばFM主体の交信が多く、高所からは電波がより遠くへ飛ぶため山岳地帯への移動運用や、アンテナが短くて済むため車載の移動局が多いものも短波とは大きな違いと言えます。

移動局の殆どがFMによる運用で、私の「TR-851D」も、そんな目的で製品化されていますが、敢えて私は自宅で固定機として使用しています。私の場合は、交信の多くがCW(電信)とSSBで占められていて、FMの交信のような定型的な俗に言う紋切り型でなく、もっと自由な楽しい会話の出来るところが魅力です。

そんな日常生活の情報端末として不可欠となっている、この「TR-851D」が使えなくなり一時はメーカ修理も考えましたが、発表から二十年、購入からでも十六年も経た今日、果たして修理を受け付けてくれるか思案していました。

それでも、先月でしたが、三十年前のソニー製のラジオは、ソニー本社内にあるサービスセンターへ持ち込んだところ、何とか修理して頂け機能が復活して驚くやら嬉しいやら・・・この事例に倣って、先日、思い切ってケンウッドのサービスセンターへ現物を送り込みました。

さて、どの様な結末になるのか?今は祈る気持ちです。

2006年9月19日火曜日

アマチュア無線のパケット通信でも活躍したエプソン "Word Bank note2"

タイプライターと同じくらいの大きさだったワープロが、デスクワーク中心だった1980年代後半に、エプソンから発売された「Word Bank note2」の登場は衝撃的でした。とにかく持って歩ける、単三乾電池四本で動作する訳です。書院や文豪なんて目じゃない、文書を書く仕事もかなり多かった私には正に打ってつけのマシンでした。

元箱も美品で存在

デスクでの使用はもちろん外出時にはサムソナイトのアタッシュケースにスッポリと収まって、何処へでも一緒に動き回りました。
キーボードもデスクトップPCと殆ど同じサイズでタイピングに違和感もなくスムーズ、辞書は漢字ROMにあるため東海クリエイトのユーカラとは比べようがないほどのスピードで文字変換、正にこれがワープロと身をもって体感しました。

ただし、液晶部分が小さく五行表示で長い文章作成には辛いものがありました。後に発売されたシャープや三洋電機などの液晶ディスプレイを折りたたむ形にしたモノにはかないませんでしたが、A4サイズで1.2kgの小型軽量が評価されモバイルワープロとして認知されました。
EPSON Word Bank note2 (私物)

私は1980年代後半には、アマチュア無線のパケット通信に入れ込んでいて430メガで二台のTNCを用いデジタル通信を行っていました。NECのPC-8801MK2を二台使いパケットを四六時中ワッチしていた時代で、その一台をこの「Word Bank note2」に置き換えてみました。
パソコン通信にも最適化されたこの「Word Bank note2」をRS-232CでTNCに接続すると、スムーズにパケットの送受信が出来てしまい流石っと思わされました。

その後は、「Word Bank note2」のテキストデータをPC-98やPC-88に受け渡すのに、専ら430メガFMの電波を介して送っていました。もちろん、第三者に悟られないように、ローパワーで、アンテナをダミーロードに変え至近距離での通信で実行しました。
テキストデータとしてパソコンが受け取れば、その後はパソコン環境下でのデータの加工が出来るので誰にでも渡せることになりました。

それと前後して、当時としては超小型?のA4専用熱転写型プリンタNECのPC-PR103TLを買い求め、テキストデータをプリントしてファックスしたりコピーしたりして配布していました。人によってはテキストデータとしてフロッピーディスクにセーブして渡すなど、当時としてはハイテク?みないな気分でご満悦な時もありました。

Z80のCPUの能力を極限まで使った、この「Word Bank note2」の最大の弱点は、時として、液晶表示部分に縦方向に一直線に黒いスジが現れることです。
今で言うドット落ちみたいな症状ですが、液晶ガラス部分の上下に貼り付けた(電極が埋め込まれた)ゴム層が熱などにより収縮して一部がガラス面から剥離するようです。時によって三本も四本も黒いスジが発生し表示された文字が判読し辛くなりました。

その度に京王線新宿駅から一つ目の初台駅から近いエプソンサービスステーションへ持ち込みました。数回これを繰り返し、その後は同じ症状が発生してもパーツ交換では直らないと判断し諦めました。

その後も「Word Bank note2」様々の毎日でしたが、一年くらい経ったある日、NECからCPUにV30を使った初のノートパソコンPC-9801Nが発表され、ワタシ的にはワープロ時代の終わりを何となく予感しました。

NEC PC-9801NS (私物)と大きさの比較
このPC-9801Nを横目に見ながら、更に一年が過ぎた頃、CPUを386SXに載せ替えた32bitのNECのノートパソコンPC-9801NSが発表され、ついに、「Word Bank note2」との二年間の蜜月は呆気ない幕切れとなってしまいました。

それから十五年ほど、つい最近になって、その存在すら忘れかけていた「Word Bank note2」が、部屋のリフォーム時に発掘?され、予期せぬ再会を果たしました。

保存状態も良く美品でした。
早速ACアダプタを繋ぎスイッチONしてみましたが、往時と変わることないオープニング画面が現れ、キーボードからのコマンドにも正確に応答していて、直ぐに使える状態にあるようです。

ICカード(32kBメモリーカード) (私物)
単三乾電池を四本入れメモリーバックアップ用のリチウム電池CR2032も交換してみましたが、パーフェクトで動作しているようです。
しかしながら、今さらパソコン通信でも無く、モバイルワープロでも無し。
テキスト作成なら何とか行けそうですが、専用のICカードも今となってはどのハードウェアとも互換性がありません。どなたか、MacOSX か MacOS9のマッキントッシュへ簡単にテキストデータを移動する妙案があればアドバイスをお願いします。

2006年9月18日月曜日

アマチュア無線家のバイブル「The radio amateur's handbook」1939年版

私のお宝のヒトツ、米国アマチュア無線連盟(ARRL)が1939年に発行したアマチュア無線家のバイブルとでも言うべき「The radio amateur's handbook」です。サブタイトルは、THE STANDARD MANUAL OF AMATEUR RADIO COMMUNICATIONとあります。

いわゆるレターサイズより幅が狭くアメリカの書籍には珍しくスリムで分厚く456ページにもなります。六十六年前の出版ですが、時を経て紙質はそれなりに変色が見られますが、ページもシッカリと繰れて読むのに不自由はありません。

The radio amateur handbook-Fifteenth edition
第二次大戦の直前に発行されていて、米国の当時の技術レベルの高さが窺い知れます。
目次を紹介しておきますと、

CONTENTS

HIRAM PERCY MAXIM MEMORIAL STATION, W1AW
THE AMATEUR HIS CODE OF ETHICS

INTORODUCTION

Chapter 1 STORY OF AMATEUR RADIO
Chapter 2 GETTING STARED

PRINCPLES AND DESIGN

Chapter 3 ELECTRICAL RADIO FUNDAMENTALS
Chapter 4 RECEPTION OF RADIO SIGNALS
Chapter 5 RADIO TRANSMISSION
Chapter 6 MODULATION

CONSTRUCTION ANDO ADJUSTMENT

Chapter 7 WORKSHOP PRACTICE
Chapter 8 CONSTRUCTION OFU RECEIVERS
Chapter 9 TUNING ANDO ADJUSTING RECEIVERS
Chapter 10 CONSTRUCTION OF TRANSMITTERS
Chapter 11 POWER SUPPLY
Chapter 12 MODULATION EQUIPMENT
Chapter 13 COMPLETE TRANSMITTERS
Chapter 14 TRANSMITTER ADJUSTMENT
Chapter 15 KEYING AND B.C.I. ELIMINATION
Chapter 16 ADJUSTMENT OF PHONE TRANSMITTERS
Chapter 17 MEASUREMENTS AND MEASURING EQUIPMENT
Chapter 18 EMERGENCY AND PORTABLE
Chapter 19 STATION ASSEMBLY
Chapter 20 TUBE CHARACTERISTICS AND MISCELLANEOUS DATA

ANTENNAS

Chapter 21 ANTENNA FUNDAMENTALS
Chapter 22 R.F. TRANSMISSION LINES
Chapter 23 LONG-WIRE ANTENNAS
Chapter 24 MULTI-ELEMENT DIRECTIVE SYSTEMS
Chapter 25 ANTENNA CONSTRUCTION

ULTRA-HIGH FREQUENCIES

Chapter 26 INTRODUCTION T U.H.F.
Chapter 27 RECEIVING EQUIPMENT FOR 28 AND 56MC
Chapter 28 28 AND 56MC TRANSMITTERS
Chapter 29 ANTENNAS FOR THE U.H.F.
Chapter 30 112MC AND HIGHER

OPERATING AND TRAFFIC HANDLING

Chapter 31 OPERATING THE STATION
Chapter 32 REGULATIONS AND DATA
INDEX

勿論、これは私の出生以前に発行されたのモノで、後年になって古書として入手しました。

この「The radio amateur's handbook」は、今も昔もアマチュア無線家の座右の書であるのは疑いがありません。 電子工学の基礎、電子回路、送信機と受信機の技術、電波伝播や空中線などの項目からアマチュア局の運用についてまで、非常に詳しく述べられています。 単なる電子工学の理論書ではなくアマチュア無線家の立場から書かれており、アマチュア無線技術の集大成といえるでしょう。

しかしながら、いま現在これに匹敵する、アマチュア無線のニューカマーに是非とも読んで欲しいと思う和書が無いのは残念です。誰もがバイブルにするような入門ガイドらしきものも無く、各々がやりたい放題?昔に比べハムワールドの荒廃ぶりを嘆くのは私だけか?

近頃、交信時に「お肥え掛け・・」って言われたり、「カンジ界尺は・・」とか「貴局の返諜は濃いです・・」なんて言われたりすると、ワタシ的にはムカっと来ますね、何だそれっ・・・。

昔は、SWLを何年もやって先輩局の一挙手一投足を注意深く見習い、無線工学書やCQ ham radio、ラジオ雑誌を参考に試行錯誤しながらも無線機を製作して理論を実証する過程も経て開局していました。

それが今は、金さえあれば免許の取得は簡単、無線機の調達も簡単、開局の手続きも簡単で、何とも結構な時代ですが、ソフトウェア的な事が丸でなってない・・・即席のアマチュア無線通信士?だからでしょうか?
取りあえず、いま交信中の局の喋り方を丸ごとコピーし、間違いがあったとしても、孫引きのごとく、そのまま受け売りで次へ伝承してしまっています。

この連鎖は何処かで断ち切る必要があるとワタシは思いますが・・・陰で「コピーです・・」なんて言われそうですが、通信用語では、プロもアマも「了解」って言うのが正しい。

なお、「The radio amateur's handbook」はCD版とBook版があります。 読みやすいのはBook版、CD版は場所を取らないので便利です。日本で購入するにはJARLとか大型書店でも取り扱っているようです。ARRLのHPにアクセスして直接購入することもできるようです。