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2016年9月24日土曜日

「TRIO RADIO CLUB」、春日無線が発行した季刊誌だ

春日無線工業(後のトリオ→ケンウッド)時代、トリオファンを対象に発行されていた小冊子に「TRIO RADIO CLUB」があった。
東京都大田区雪ヶ谷町に在った、春日無線工業の在京部門である、東京研究所が発行した、トリオラジオクラブの季刊誌だ。

トリオラジオクラブの季刊誌 「TRIO RADIO CLUB」

年会費 100円で会員を募り、ラジオや電蓄、アンプなどの製作記事、アマチュア無線の解説、 短波放送の受信のための記事、サービス情報、質疑応答、会員の便りなどを一冊にまとめ、年四回、会員宛てに郵送していた。

毎号、B5版で20ページほどの体裁だった。
主筆は、春日二郎であり、その他、(当時のラジオ雑誌にも筆者として名がある) 横山、宮地、藤巻など、数名のベテラン技術者がチューナー/アンプからアマチュア無線/SWLやオシロスコープなど測定器のコンテンツを代わる代わる執筆していた。

推測だが、1955年を挟む五年間くらいの発行だったようだ。

1950年台後半、東京都大田区雪ヶ谷町から、新築なった (大田区調布千鳥町の) 新工場へ移転し、それまでの手作業からベルトコンベアーによる量産開始とともに、本業で手一杯となり、こちらには手が回らず廃刊となった。

この「TRIO RADIO CLUB」は会員向けの限定頒布であり、恐らく現存する物は希少と思われ、全体像を自分も承知していない。

2016年9月22日木曜日

春日無線の「6R-4S」は 1952年発売で間違いないのか?

春日無線工業(後のトリオ→ケンウッド)初の通信型受信機「6R-4S」の発売日を知りたくて、WEBで検索すると、大方が 1952年(昭和27年)となる。

六十四年も前のことで、還暦の人は論外、古希の人でさえ当時は小学生だ。
その根拠を知るとは到底考えられないが、それでいて、当てずっぽうに 1952年発売などと宣う。今となっては、喜寿とか傘寿の方々の記憶が頼りかも知れない。

ネタ元は何処の誰だったのか?今となっては辿りようも無いが、引用のまた引用、いわゆる、ネットの孫引きで、それが拡散してしまった数だけ信憑性があるような錯覚に陥っている。

これとは別に、WEBの検索でヒットする唯一の確かな情報が、春日無線時代に発行されたトリオテクニカルデータシートだ。「6R-4S」は、以下の物が流布しているが、出所が明確なので判断の一助になる。
データシートの上側の一部分だ
上は「6R-4S」のデータシートの一部分だが、右上の型番の下に「1955年9月10日初版発行」とある。
この日付を鵜呑みにすると、同じ通信型受信機 9R-4より後の発売になるが、それは違う、9R-4より 6R-4Sの方が先と言うことでは、全員一致の見解だ。

多くの他の事例を調べると、このトリオテクニカルデータシートは、製品の発売にタイミングを合わせて発行されていた訳では無さそうだ。
どちらかと言えば、遅れて出て来て希望者に頒布された。それ故、発行日から発売日を類推することは出来ない相談だ。

やはり、当時発行されていたラジオ雑誌の記事の中から拾い出すのが適当かも知れないが、当の雑誌を探し出す方が、もっと大変かも知れない。

2016年9月10日土曜日

「9R-59Cライン」という言い方が、あったらしい?

自分がアマチュア無線局を開局したのは 1960年代の頃。
その頃、定番だったアマチュア無線機は、トリオ(後のケンウッド)製の受信機(9R-59)と送信機(TX-88A)の組み合わせだった。

1959年(昭和34年)、電信級電話級アマチュア無線技士の国家試験が開始され、以後、爆発的に免許所得者が増加した。
それに呼応するように製品化されたのが、この 9R-59と TX-88Aである。
どちらも、その性能とデザインでは、他社を寄せ付けず、AM時代を象徴する製品となった。

9R-59
さて、
最近になって、WEBで、「9R-59Cライン」と言う記述に気づき、その前後の文章を繰り返し読んでみた。製品名としての「9R-59C」は存在しないが、「9R-59」のキットを購入して完成させたモノを指すようだ。
推測だが、当時のトリオの製品である、TX-88Aを始め SM-5や VFO-1、CC-6なども、キットから完成させ、それら全体を引っくるめて「9R-59Cライン」と表現していたらしい。

要は、自分のリグは、全て、自分自身がキットから完成させたモノだと言う、いわゆる、ラジオ少年達の自慢話の発露だったのかもしれない。

ところで、何故に「Cライン」と呼んだのか?
当時、トリオは、完成品もオールキットも全く同じ外観の段ボールケースだった。それ故、梱包が済んでしまうと、完成品かキットか分からなくなってしまう。
それを区別するため、親指と人差し指を丸く合わせた位のゴム印で、段ボールケースの側面に、完成品は B、キットは C と捺印した時期があった。
ここから、Cラインが生まれたのではないかと思われる。

飽くまでも、製品管理用の目印で、型番とは縁がないが、誰でも目に付くところにあるので、それが切っ掛けになったのかもしれない。
その後、親指と人差し指を広げた位の(オールキットの)シールが貼られるようになり、最終的には、箱に直に印刷済みとなり、捺印が不要になった。

余談だが、この Bと C 以外に、A(セミキット)や D、Y、T などがあったが、キットのビジネスが衰退するに連れ、自然消滅したようだ。

しかし、「9R-59Cライン」という言い方を私は知らない。
当時、特定のグループあるいは特定の地域では恒常的に使われていたのか?少なくとも私の周辺では初耳だ。

2016年9月9日金曜日

トリオの通信型受信機「6R-4S」の発売日は?

春日無線工業(後のトリオ→ケンウッド)から発売された、初の通信型受信機「6R-4S」の発売日を特定しようとしている。
WEBによる検索では、CQ出版社のサイト(アマチュア無線の歴史)では 1956年、他の多くが 1952年(昭和27年)発売としているが、孫引きが殆どで、その裏付けになる証しが全く無い。
発売から半世紀以上が経過していて、なかなか特定は難しいが、「年月」あるいは「年」でも確証を得たい。
6R-4S

1954年7月発行の「トリオ製品価格表」には、既に「6R-4S」の掲載があるので、それ以前の発売であることは確かだが・・・

追記
「6R-4S」の TRIO Technical Data Sheet の初版日付は(想定外の)1955年9月10日であった。
また、これに採用された、4バンドスーパー・コイルキット「KM-4」の TRIO Technical Data Sheet の初版日付は調査中。

トリオのプリセレクター「SM-1」の発売日は?

春日無線工業(後のトリオ→ケンウッド)から発売された、プリセレクター通称SIGNAMAX 「SM-1」の発売日を特定しようとしている。
ヤフオクでは希に売り買いがあるが、WEBによる検索を繰り返しても、発売日に関する記述は得られていない。
発売から半世紀以上が経過していて、なかなか特定は難しいが、「年月」あるいは「年」でも確証を得たい。
SM-1

1954年7月発行の「トリオ製品価格表」には 既に「SM-1」の掲載があるので、それ以前の発売であることは確かだが・・・

追記
「SM-1」の TRIO Technical Data Sheet の初版日付は(不鮮明ながら)1954年7月15日らしい。
なお、これに採用された、3バンド・プリセレクター・コイルキット「KP-3」の TRIO Technical Data Sheet の初版日付は 1954年7月10日である。

2016年9月3日土曜日

半世紀前のトリオのアマチュア無線機の発売日だが

半世紀も前、春日無線工業株式会社(後のトリオ→ケンウッド)の製品の発売時期について、ネットで検索すると、その発売した年に諸説がある。

大昔のことでもあり、ご当人の記憶違いや記憶の薄れ?あるいは勘違い、なかでも一番危惧されるのが、ネットでの孫引きである。

検索で得た事柄の真偽を確かめること無く引用し、更にネットで広めてしまう。
それを、別人が、また検索で得て引用し、間違いがネズミ算的に拡散してしまう訳だ。

本論に戻るが、
春日無線工業(株)が発売した、6R-4Sや 9R-4/42、9R-4J/42J そして TX-1などの発売時期を私なりの考察で以下に示した。


手元にある、当時の春日無線工業(株)が発行した「トリオデータシート」や「トリオ製品価格表」それに同社発行の季刊誌「TRIO RADIO CLUB」を突き合わせ、読み取れる発売年は、明確に記してある。

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トリオ初の通信型受信機 6R-4S 1952年(昭和27年)発売?

発売年に確証が無い。
球無しセミキットで発売。完成品の受注も可とある。
1954年(昭和29年)の資料では、球無しオールキットも発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式の受注も可とある。

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トリオ初のプリセレクター(シグナマックス) SM-1 1954年(29年)発売?

1954年(昭和29年)のトリオ製品価格表では、セミキットと完成品、オールキットが掲載されている。
電源回路は無く、親受信機からお裾分けしてもらう仕組みだが、電源を内蔵した製品の受注も可とある。

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通信型受信機 9R-4 1954年(29年)中頃に発売

球無しセミキット(16,200円)と完成品(32,000円)の両方で発売。
翌年、1955年(昭和30年)から、球無しオールキット(27,700円)も発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式、メータ付きの受注も可とある。
資料では、9R-42も同時発売とある。

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通信型受信機 9R-42 1954年(29年)中頃に発売

当初、完成品のみ受注。
翌年、1955年(昭和30年)から、完成品と球無しオールキットを発売。

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トリオ初のアマチュア無線用送信機 TX-1 1954年(29年)年末から発売

社内仕分けでは、球無しセミキットであるが、部品表では、バリコンやコイル、メータ(10/100mA)、その他の小物部品とCR類、ビニール線(4m)などオールキットの体裁だ。

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通信型受信機 9R-4J/42J 1958年(昭和33年)中頃

同時発売、完成品と球無しオールキット(17,000円)での発売。推測だがセミキットは無し。

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アマチュア無線用送信機 TX-88 1959年(昭和34年)発売?
球無しオールキット 12,000円
発売年に確証が無い。ネットの検索で、TX-88のデーターシートの発行日付は1959年9月とあったが、他の機種でも発売日よりだいぶ間を置いて発行されていてそのまま鵜呑みは出来ない。
更に、1960年発行のCQ hamradio誌にTX-88の新製品広告のページがあるのを確認出来たが何月号?は不明。

電波法で、新たに施行された電信級/電話級アマ向けに企画された製品。
球無しオールキットでの発売。

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通信型受信機 9R-59 1961年(昭和36年)春に発売

JA1VBN局のHPに掲載の、ラジオ技術1961年3月号広告では、3月中旬発売予定とあり、この年の春頃に発売されたようだ。
完成品(33,000円)と球無しオールキット(18,500円)を発売。

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アマチュア無線用送信機 TX-88A 1961年(昭和36年)か翌年の37年には発売

9R-59より若干遅れての発売だった。
球無しオールキット(21,000円)のみ発売。


多くが、半世紀も前のことで、今日に至っては調べようが無い。
CQ ham radioのバックナンバーがあれば、年月は絞り込めそうだが、物量的に無理かもしれない。自分も何十年分か忘れたが、実家に置き去りにした全てが、古紙に変わっていたのを知り、ギブアップ。

冒頭にも書いたが、ネット検索は安直だが、孫引きが殆どで、信憑性に欠ける。
参考にはするが、そのまま鵜呑みは出来ない。
確証の得られる資料をお持ちの方が居られたら、ぜひ、コメント欄でお知らせ頂ければ幸甚である。

追記
CQ出版社のWEBサイトに「アマチュア無線の歴史」がある。
CQ ham radioのバックナンバーから、各社の新製品を拾い集めて制作した物だろう。
しかし、今回の件で検索しただけでも、間違いと思われるモノが相当数あり、全体の信憑性も疑われる事態だ。
例えば、6R-4Sを検索したところ、1956年の発売とあったが、それでは 9R-4より後になる。更に調べると、9R-4は見当たらず、キット 9R-42J(K)と言う(存在しない)型番で1954年に13,500円で発売とある。また、1959年にはキット 9R-4Jを発売とある。9R-59に至っては(完成品25,000円,キット14,350円)とあり、どれもこれも出鱈目(でたらめ)で、いい加減にせよ・・・
もはや真偽を問う以前の状態だ。
CQ出版社のWEBサイトですら、この有様だから、他のサイトでは推して知るべしか?

アマチュア無線の歴史