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2016年9月3日土曜日

半世紀前のトリオのアマチュア無線機の発売日だが

半世紀も前、春日無線工業株式会社(後のトリオ→ケンウッド)の製品の発売時期について、ネットで検索すると、その発売した年に諸説がある。

大昔のことでもあり、ご当人の記憶違いや記憶の薄れ?あるいは勘違い、なかでも一番危惧されるのが、ネットでの孫引きである。

検索で得た事柄の真偽を確かめること無く引用し、更にネットで広めてしまう。
それを、別人が、また検索で得て引用し、間違いがネズミ算的に拡散してしまう訳だ。

本論に戻るが、
春日無線工業(株)が発売した、6R-4Sや 9R-4/42、9R-4J/42J そして TX-1などの発売時期を私なりの考察で以下に示した。


手元にある、当時の春日無線工業(株)が発行した「トリオデータシート」や「トリオ製品価格表」それに同社発行の季刊誌「TRIO RADIO CLUB」を突き合わせ、読み取れる発売年は、明確に記してある。

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トリオ初の通信型受信機 6R-4S 1952年(昭和27年)発売?

発売年に確証が無い。
球無しセミキットで発売。完成品の受注も可とある。
1954年(昭和29年)の資料では、球無しオールキットも発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式の受注も可とある。

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トリオ初のプリセレクター(シグナマックス) SM-1 1954年(29年)発売?

1954年(昭和29年)のトリオ製品価格表では、セミキットと完成品、オールキットが掲載されている。
電源回路は無く、親受信機からお裾分けしてもらう仕組みだが、電源を内蔵した製品の受注も可とある。

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通信型受信機 9R-4 1954年(29年)中頃に発売

球無しセミキット(16,200円)と完成品(32,000円)の両方で発売。
翌年、1955年(昭和30年)から、球無しオールキット(27,700円)も発売。(ラジオ少年の要望?で)金属ケースとダイヤル機構一式、メータ付きの受注も可とある。
資料では、9R-42も同時発売とある。

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通信型受信機 9R-42 1954年(29年)中頃に発売

当初、完成品のみ受注。
翌年、1955年(昭和30年)から、完成品と球無しオールキットを発売。

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トリオ初のアマチュア無線用送信機 TX-1 1954年(29年)年末から発売

社内仕分けでは、球無しセミキットであるが、部品表では、バリコンやコイル、メータ(10/100mA)、その他の小物部品とCR類、ビニール線(4m)などオールキットの体裁だ。

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通信型受信機 9R-4J/42J 1958年(昭和33年)中頃

同時発売、完成品と球無しオールキット(17,000円)での発売。推測だがセミキットは無し。

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アマチュア無線用送信機 TX-88 1959年(昭和34年)発売?
球無しオールキット 12,000円
発売年に確証が無い。ネットの検索で、TX-88のデーターシートの発行日付は1959年9月とあったが、他の機種でも発売日よりだいぶ間を置いて発行されていてそのまま鵜呑みは出来ない。
更に、1960年発行のCQ hamradio誌にTX-88の新製品広告のページがあるのを確認出来たが何月号?は不明。

電波法で、新たに施行された電信級/電話級アマ向けに企画された製品。
球無しオールキットでの発売。

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通信型受信機 9R-59 1961年(昭和36年)春に発売

JA1VBN局のHPに掲載の、ラジオ技術1961年3月号広告では、3月中旬発売予定とあり、この年の春頃に発売されたようだ。
完成品(33,000円)と球無しオールキット(18,500円)を発売。

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アマチュア無線用送信機 TX-88A 1961年(昭和36年)か翌年の37年には発売

9R-59より若干遅れての発売だった。
球無しオールキット(21,000円)のみ発売。


多くが、半世紀も前のことで、今日に至っては調べようが無い。
CQ ham radioのバックナンバーがあれば、年月は絞り込めそうだが、物量的に無理かもしれない。自分も何十年分か忘れたが、実家に置き去りにした全てが、古紙に変わっていたのを知り、ギブアップ。

冒頭にも書いたが、ネット検索は安直だが、孫引きが殆どで、信憑性に欠ける。
参考にはするが、そのまま鵜呑みは出来ない。
確証の得られる資料をお持ちの方が居られたら、ぜひ、コメント欄でお知らせ頂ければ幸甚である。

追記
CQ出版社のWEBサイトに「アマチュア無線の歴史」がある。
CQ ham radioのバックナンバーから、各社の新製品を拾い集めて制作した物だろう。
しかし、今回の件で検索しただけでも、間違いと思われるモノが相当数あり、全体の信憑性も疑われる事態だ。
例えば、6R-4Sを検索したところ、1956年の発売とあったが、それでは 9R-4より後になる。更に調べると、9R-4は見当たらず、キット 9R-42J(K)と言う(存在しない)型番で1954年に13,500円で発売とある。また、1959年にはキット 9R-4Jを発売とある。9R-59に至っては(完成品25,000円,キット14,350円)とあり、どれもこれも出鱈目(でたらめ)で、いい加減にせよ・・・
もはや真偽を問う以前の状態だ。
CQ出版社のWEBサイトですら、この有様だから、他のサイトでは推して知るべしか?

アマチュア無線の歴史

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