以下は、そのページの部分的コピーだ。
何故に「F-62」なのか?それまでのトリオの型番の体系では推しがたい。アマチュア無線用の 9R-4より少し後に、漁業用受信機として製造販売したらしい。
それも、陸から近い沿岸漁業の漁船向けだ。
それ故、短波放送で知られる九メガ台とか、それ以上の周波数では電波がスキップしまい、近距離の通信に適さない。それで、中短波の四メガ以下とか八メガ以下の漁業バンド用の受信に適した仕様にした。
高周波一段中間周波二段、AF二段の構成で、中波と短波(3.5-10Mc)の二バンドと立派だ。
GT管が六本。電源は 24Vの DC専用で、ロータリーコンバーターかバイブレータを用いた船舶用ならではの仕様である。大揺れする船内に取り付けるため、通常の脚ではなく、アングルのような脚で船体の一部に直付けした。
受信機は、それぞれの漁船に付けられ、送信機は船団の一、二隻にのみ付けていたようだ。
勿論、送信機の操作には無線従事者の免許資格が必要だ。
通常は、漁業基地の固定局、つまり海岸局との交信を行う。
他の船は、その交信を傍受し、航路のこと、漁場のこと、気象のことなど、航海に必要な情報を得ることができたようだ。
因みに、この F-62は 38,500円、6R-4Sは 17,550円、 9R-4は 32,000円とカタログにある。
この漁業用受信機に付いて後継が無く、恐らく 6R-4Sや 9R-4へ引き継がれたようだ。