戦後の七年を経て、1952年、五級スーパーに BFO/ANLを付加しただけだが、俗に言うオールウエーブ・ラジオとは一線を画すラジオが世に出た。
トリオが発売した通信型受信機 6R-4Sである。
受信周波数は、中波から短波までカバーし、戦時中は聴取が禁じられていた、海外からの短波放送の受信には持って来いの受信機だった。
それは、知る人ぞ知るだが、アメリカの同種のラジオ S-38とソックリ、正にパクリそのもの。それまで家庭にあるラジオと言えば、並四とか高一とかのオートダイン式で、安価だが性能もソコソコで、通信型受信機 6R-4Sのスーパーへテロダイン式は画期的だった。
それに直ぐに飛びついたのが、戦前からの短波受信の愛好者と漁業無線局、それとアマチュア無線局だった。
トリオの 6R-4Sは、その後、次々とモデルチェンジを繰り返し、その都度、販売数を伸ばしていった。
以下がその系譜だが、
1952年 6R-4S (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 10-30Mc)1954年 9R-4 (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1954年 9R-42 (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)
1958年 9R-4J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 1.6-4.8Mc, 4.8-14.5Mc, 11-30Mc)
1958年 9R-42J (受信周波数;0.55-1.6Mc, 3.5-7.5Mc, 7.0-15Mc, 14-30Mc)
基本的には 9R-42Jまで、以下の様に扇型のダイヤル窓が左右対称的に付いたデザインだった。
9Rシリーズの基本デザイン |
しかし、1960年のモデルチェンジでは、そのデザインを一新した 9R-59が登場した。
フロントパネルの半分を占めるような横行ダイヤルが採用になり、周波数帶は 9R-4に先祖返りした。しかも、周波数微調のサブダイヤルも周波数直読になり、メインとサブのツマミが右側に揃い、使い勝手も非常に良くなった。
9R-59 |
その後、以下の様なモデルチェンジもあったが、時はSSB時代に入り、既に時代遅れの製品となってしまった。
1966年 9R-59D (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)
1969年 9R-59DS (受信周波数;0.53kHz-1.6MHz, 1.6MHz-4.8MHz, 4.8-14.5MHz, 10.5-30MHz)
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