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2006年7月7日金曜日

トリオ製のアマチュア無線用50メガAMトランシーバー "TR-1000"、三十五年ぶりの再会

三十五年ぶりに開封したトリオの段ボール箱。
重さの手応えからして正にその物が入っていると思いつつも、綴じ糸を外しユックリと開いてみました。蛍光灯の光に鈍く反射するアルミ地のパネルがチラリと見えて間違いないことが直ぐに分かりました。

50Mc AM Transceiver TR-1000
内装段ボールを引き出すと、トリオ製のアマチュア無線用50メガAMトランシーバーTR-1000が現れました。パネルは腐食の跡もなく当時のままの雰囲気を留めていました。

買ったのは昭和四十二年か四十三年頃で、当時は野外へ持って出られるアマチュア用無線機は画期的なモノでした。それを可能にしたのは、真空管からトランジスタへの移行時期に、いち早くトランジスタを採用したことが要因だったと思います。

今の時代からすれば滑稽な話ですが、無線機を持って歩けること自体が凄い訳です。現世では「ケイタイ」と呼ぶUHFトランシーバーを、トランシーバーと意識することなく、大人も子供も日常生活のツールとして持って歩く時代、正に技術の進化を実感します。

汚れはありますが、往時の面影をキチンと残していて磨けば少しは見てくれも良くなることでしょう。マイクもシッカリ揃っていて、50メガのAMで一ワットですが、単一電池を八個入れれば今でも動作するかも知れません。

マダマダ、この六メーターバンドにはAMをこよなく愛するマニアのグループもいる様ですから、Ancient Modeでは決してないと思っています。

この当時は50メガもガラガラ状態で相手を捜すのも大変でした。しかも、バンド幅は今と同じで四メガもありましたが、殆どの局が50メガから51メガの間で交信していました。

そんな実情からか?このTR-1000の受信可能範囲は50メガから52メガで、バンドの下半分しかカバー出来ていませんでした。今だったらユーザからクレームの付くところですが、当時のアクティビティから考えると合理的とも言えました。
少数のFM局は51メガをコールチャンネルにしていたようです。SSBも希にいたようですが、殆どがAM局で51メガより下で交信していました。

このTR-1000では、水晶発振子が出荷時に50.3メガたった一個しか付いてなくて、CQ CQと呼び出しを行うと、多くの局が同じTR-1000で応答してくるため、都合が良いと思っていたのですが、多くの局がこの周波数でそれぞれ交信をするため、一日中混信混信の有様で、結果的に満足な交信が出来た局は少なかった様です。

それでかどうか忘れましたが、製造元のトリオが、50.55メガの水晶発振子を販売促進の意味も含めて、格安で提供するセールを行った時期がありました。名付けてゴーゴー作戦とか?昔の話ですが・・・

何とかしなくてはと思い、私は秋葉原の某電子パーツ販売店で三和クリスタルの水晶発振子を特注しました。
HC-6Uタイプで、50.1メガ、50.2メガ、50.4メガ、50.5メガ
HC-6Uタイプの水晶発振子

四個発注して二週間後くらいで入手出来ました。
元々付いている50.3メガと合わせて0.1メガ間隔で揃えた結果、どれかの周波数でCQ CQと呼び出しを行うことで、飛躍的に交信数を増やすことが出来ました。

送信周波数を任意に可変出来るVFOがあれば、こんな散財や苦労も無かったのですが、当時としては、こんなやり方が普通で、また、そんなこともホビーとしては面白かったのだと思います。

ただし、本体に収納されている1.5メートルのロッドアンテナでは、都市部に於い交信出来る範囲は凄く狭く、やはり、15メートルくらいの高さに付けたアンテナに同軸ケーブルを繋いで交信することが必須でした。それでも、まだまだハイパワーの局も少なくバンドも空いていて、都市部でも十キロや二十キロの交信も可能でした。

アマチュア無線家は高いところを好む習性?がありますが、それは電波が遠くへ飛びやすいからです。私もしばしば東京郊外の高尾山へこれを担いで登り、頂上付近から附属のロッドアンテナだけで電波を出してみました。

東京と神奈川の県境の山ですが、流石に高いところはグッドで、東京や神奈川県はもちろん、山梨県や千葉県からも応答があり、やって居る本人も驚くほど遠くへ飛び、ニコニコの状態でした。

しかし、電池の性能が現在と比べてかなり劣るため直ぐに電圧低下が起こり、予備の電池と交換する必要がありました。一度に単一乾電池八個を使うので予備に十六個を持って行った時などは、本体もかなりの重量なのに電池の重さに参りました。

今のUHFトランシーバーなどは五倍の出力があってもポケットに入ってしまうほどで、今の同好の士には、あの苦労など理解して頂けないと思います。

私のお宝的な存在のこのトランシーバーですが、いつか復活の時が来ることを願っています。



コメント(アーカイブ)

完動のようで、すばらしいです。
大丈夫です、ホイップでも イースポ で
日本全国とQSO可能です。
すばらしいAM 機会が有ればまた運用したいです。
30年ほど前ですが、キットの0,5W機で
オールエリアQSO出来ました。
昨年末 RJX-601を ヤフオクで
売ってしまいました。

Posted by  まぐま at 2006.7.7 22:19:18
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忘れていました、「イースポ」ってコトバ、電離層の一つ、スポラディックE層での電波の反射現象ですが、21メガや28メガでも発生し、イレギュラーな電波の伝播で、普段は電波の届かない地域と難なく交信出来てしまい、何か儲かった様な気分になったものです。
余談ですが、昨年、東京小金井市にあるJJYも管轄するNICT(元通信総合研究所)の一般公開日に行った時に、電波の伝播に関するパネルディスカッションで、これからは「電離層」と言わず「電離圏」となると聞きました。地球を取り巻く「成層圏」の上空にあるからとの説明でしたが・・・
いっだったか?アキバのジャンク屋に「パナ6」があり、懐かしく手に取ってみましたが、程度も悪く、修理にも手が掛かりそうなので、元の場所へソッと戻しました。当時の六メータバンドではダントツの人気で多くのユーザが居たのを覚えています。
いずれにしても六メータはHFとVHFの両方の良いとこ悪いとこを兼ね備えていて、今でも面白いバンドだと思います。
Posted by  BlueMac at 2006.7.8 02:19:54
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