TRIO PRECON「SM-5」 (私物です) |
包装を解くと紛れもなく「SM-5」でした。
段ボール箱にはPRE-SELECTOR CONVERTORと印刷されていますが、パネルでは「PRECON」となっています。
多分これは競合品のDELICAのPLUG in CONVERTORが「プラコン」と呼ばれていたからかも知れません。
「PRE-SELECTOR CONVERTOR」の表示 |
パネルにある、80 40 20 15 10 の数字は、周波数表示でなくて波長表示をしている訳です。
今でも五十メガを六メーターバンドとか七メガを四十メーターバンドなんて会話では使いますが、無線機の操作パネルでは使われなくなっています。
周波数表示でなく「メーターバンド」表示 |
「SM-5」プリセレクタ/コンバータは、四十メーターバンド以下はプリセレクタとして機能し、二十メーターバンド以上はコンバータとして機能する様になっていました。
これは、コリンズタイプの周波数コンバータで、二十メーターバンド(14Mc)、十五メーターバンド(21Mc)、十メーターバンド(28Mc)のアマチュア無線バンドを短波帯の一定の周波数帯(3.5Mc〜)に置き換える機能があり、短波受信機との併用が必要でした。
DELICA PLUG in CONVERTOR 私物ではありません |
ただし、全体的な性能は親受信機次第で決まってしまうので、選択度や安定度もそれなりでした。また、5球スーパーにはビート発振器が無いので(無線)電信が受信できなかったですが、(無線)電話が圧倒的に多かった時代で支障は無かったようです。
私の場合は、この「SM-5」で周波数変換された3.5Mcから始まるアマチュア無線バンドをトリオの通信型受信機「9R-59」のバンド切替スイッチを「3.5MC帯」に切り替えて、「SM-5」からの、いわゆる中間周波にあたる電波を受信していました。
「9R-59」は通信型受信機ですが、高周波一段中間周波二段(いわゆる高一中二)のシングルスーパー受信機で、中間周波は一般家庭にあった5球スーパーラジオと同じ455kcでした。
それ故、アマチュア無線バンドのうち八十メータバンドと四十メーターバンドはそこそこ実用になりますが、二十メーターバンドから高い周波数のバンドでは、感度もさることながらイメージレシオや安定度が悪く、海外からの短波放送を聴くような場合には何とか使えても、アマチュア無線の様な弱い電波を聴くには適していませんでした。
この問題を解決に導いたのが「SM-5」でした。
私の場合は、二十メーターバンド、十五メーターバンドがメインで、周波数変換された「3.5MC帯」で受信するため、感度、イメージレシオ、安定度とも飛躍的に向上しました。
これは第一中間周波が3.5Mc、第二中間周波が455kcのダブル・コンバージョンの受信機に相当しました。そして、何よりも 便利に思ったことはダイアルの周波数目盛間隔が広くなり、目的の信号に同調させる操作がとても楽になりました。
「9R-59」の周波数目盛では、最小読み取り単位が5kcになり、相手局の周波数指定にもある程度付いていける様になり、人並みのことが出来るようになったと我ながら安堵しました。
「SM-5」と「9R-59」の組み合わせにより、微弱な電波も受信できるようになり、特に(無線)電信では、競争相手の局が呼んでいる海外局は自分でも聴えるようになり、ライバルと同じスタートラインに付くことが出来ました。
後は、力次第で交信出来るか否かが決まりました。
つまり、送信電力を上げることと、高能率のアンテナを使うことです。
この当時は、送信機にトリオの「TX-88A」の公称出力10Wでやっていました。
この後、暫くして、ブースターを付加して送信電力を十倍以上に増力し、空中線も高利得の三素子フルサイズの八木アンテナに取り替えました。
他の多くの局より一歩前を行ける無線設備の補強もしていき、交信相手も海外のみの時代が長く続きました。
以下は「SM-5」を探している時に同時に出てきたモノです。
DELICA PRESELECTOR 「PR-3」 (私物です) |
性能的には良かったのですが、当時の私の無線設備の構成では使い勝手が良くなく、実戦投入することなくお蔵入りになりました。いずれ、別の機会に紹介してみたいと思います。
コメント(アーカイブ)
いつも楽しみに拝見しております。
今後どんなお宝が登場するか、楽しみです。
それにしても、素晴らしい。
通電しその復調音を堪能してみたい物です。
Posted by まぐま at 2006.7.16 00:10:51
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お宝なのか?ガラクタなのか?三者三様の見方があると思います。
当事者である私には当然ながらお宝であるべきですが、家人にとってはガラクタ以外の何者でも無いようです。
手狭なウサギ小屋に住まいしている関係で、コッソリと捨てられてしまう恐れもあり戦々恐々の日々を過ごしています。
何年も掛けて珍しい国から届いたQSLカードも、お他人様から見れば、有名な観光地の絵はがき以下の値打ちしかないのでしょう。
先日、ある段ボール箱を開けたらギッシリと真空管が詰まっていました。ST管、GT管、MT管、メタル管など百本、もっとかも?その場では直ぐに数えられませんでした。
しかし、初めて見る真空管に、家人から「それなに?」って聞かれ、説明をしたものの本当に理解出来たのか?私としては半信半疑でした。まぁ〜前世紀の遺物の様なモノですからね。
Posted by BlueMac at 2006.7.16 12:55:15
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