1960年代に定番だったアマチュア無線機は、トリオ(後のケンウッド)製の受信機(9R-59)と送信機(TX-88A)の組み合わせだった。
しかし、このTX-88Aは何故か?オールキットで発売され完成品は無し。
オールキットでは、電気回路を構成するCRとその他の小物部品や実体配線図・配線用の工程表・回路図などが同梱されたが、それ以外の高価な送信管(UY-807)とその他の真空管は自分で用意する必要があった。
それでも、アマチュア無線を趣味とする人達の多くは元ラジオ少年だったから各人各様に知恵を絞り難無く完成させた様だ。
TX-88A |
キットから仕上げたモノは当時のオーナーのスキルが丸見え、しかも、自分なりの改造は日常茶飯事で、回路図通りではないから今日にレストアする時にはしばし手が止まることになる。
シャーシー内部の配線で特徴的な事はビニール線の被覆の色だ。
この頃のトリオでは五色配線を用いて、
赤色はB回路
青色はヒーター回路
黒色は、接地回路
白色、黄色はその他の回路
回路別に色で区別していたが、実際にはキット故に各人各様の自己流もあり、必ずしもこの通りでは無いかも知れない。
それにキットでは、殆どがいわゆるイモ半田だ。
プロならば、リード線もCRのリードもラグ板や真空管のソケットの端子の孔に差し込みリードペンチで一回ひねって抜けない様にしてから半田付けするのが当たり前だが、アマの多くは差し込むだけのチョン付けのイモ半田で動作不良の原因だった。
高が半田付けだが、この辺がプロとのアマの力量の差かも知れない。
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